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2019年8月29日

進むアルミとの接合技術開発 異材と直接や溶接高速化など 自動車部品へ適用広がる

自動車部品への適用を想定した接合技術の開発が進む。アルミニウム合金と鉄や樹脂など異材との直接接合や、アルミ同士の溶接を高速化する技術の開発が加速している。

アルミは軽量素材の一番手として車体軽量化を図るマルチマテリアルの実用化で注目を集める一方、異材との接合はリベット(びょう)など別の部材を使用した接合が主流。直接接合技術が進化すれば自動車部品へのアルミの適用がまた広がりそうだ。

昭和電工はアルミと非晶性樹脂を直接接合する技術を開発した。アルミに特殊表面処理や接合を目的とする下塗りを施すことで、化学結合で最も強い共有結合を実現した。アルミと樹脂はボルトや接着剤を使用した接合が一般的で、射出成形時に粗面化したアルミの表面に樹脂を注入し固める方法もあるが非晶性樹脂との相性は悪かった。まずはスマートフォンの筐体に適用。この技術の適合樹脂を拡充し、自動車部品用途での実用化も目指す。

古河電気工業は自動車用アルミ同士の溶接の品質を向上させるファイバーレーザー技術を開発した。レーザー光の高出力やビームモードの制御、照射速度や照射距離などの条件を最適化。溶接部内部の溶接欠陥を従来比100分の1に減らし、加工速度を同2~3倍に速めた。ファイバーレーザー溶接はアーク溶接などに比べて投資費用が掛かるのが気がかりだった。歩留まりを上げるとともに生産効率を高めることでファイバーレーザーの増販を図る。
古河電工のビームモードの制御技術はアルミと異材の接合にも応用されている。ダイヘンがアーク溶接とレーザー技術を組み合わせ、アルミと亜鉛メッキ鋼板を直接接合する技術を開発した。二つの素材は融点などが違い、溶融溶接の適用が難しかった。ビームモード制御でレーザーを最適な形状、入熱量で照射することで高強度の溶接を実現した。これにより、リベットや接着剤などの接合材料が不要でコストを抑えられ、アーク溶接のラインをそのまま流用できるようにした。

メーカーやサプライヤーは、低燃費化や電気自動車の航続距離を伸ばすために軽量化に注力している。さまざまな軽量化素材を強度ある直接接合ができれば、余計な部材などが必要なくなり、軽量化の効果をさらに高めることができそうだ。

日刊自動車新聞8月26日掲載

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