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自動車産業インフォメーション

2019年8月22日

国交省、生活道路に安全対策 速度制限やバリア設置拡充

国土交通省は、歩行者が行き交う生活道路空間の安全対策に乗り出す。区域を定めて車の最高速度を制限する規制に加えて、車両の減速を促すハンプ(凸部)や狭さくの設置箇所の拡充により、歩行者が集まるゾーンの安全性を強化する。

エリア対策は地域住民の理解を得た上で進める必要があるため、道路安全の計画づくりに積極的な地域に対して予算支援を行うことも検討する。歩行中の子どもを巻き込んだ交通死亡事故の防止に向けソフト・ハード対策を連携させて効力を高める。

住宅地や通学路、公共施設などが集まる区域の交通安全を守るためには、速度規制と物理的バリアを組み合わせた対策が必要。警察主導で車の最高速度を時速30㌔㍍に規制する区域「ゾーン30」(全国3649カ所・18年度末時点)と、この指定区域に連動するかたちで、国交省などの道路管理者がハンプや防護柵を設置して車の急な進入を防ぐ方策を取る。

ただ、16年までに整備された全国3105カ所のゾーン30に対し、ハンプや狭さくなど物理的バリアの設置は129カ所、実施率は4・2%にとどまる。導入が進まない理由として、住民・利用者との合意形成が困難であったり、地域からの苦情を心配する自治体が多いといった実態がある。

国はハンプに関する技術基準の策定や可搬型ハンプの貸し出しなど、バリア設置に関する機運づくりを進めてきた。また、全国では地方公共団体の職員が地域の合意形成のまとめ役となり、道路空間の安全性を確保する好事例も出ている。

主体的にエリア対策の計画を策定・実施する地域に対してインセンティブの付与を検討する。また、交通政策や道路空間に関するさまざまな課題を解決するための合意形成の枠組みの整備を後押しする施策も打ち出す考え。

国交省は9日に有識者を交えて開いた第68回「社会資本整備審議会 道路分科会 基本政策部会」で、生活道路エリアの交通安全対策について検討した。今年5月に大津市で発生した園児の交通死亡事故などを受け、関係閣僚会議でまとめた緊急安全対策と連動しながら、エリア対策や警察との道路の緊急安全点検を実施する。

日刊自動車新聞8月19日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

国土交通省

対象者 一般,自動車業界