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2019年8月21日

エネルギー白書2019、旅客部門のエネルギー消費量 4年連続で減少

資源エネルギー庁はこのほど「エネルギー白書2019」を公表した。それによると、自家用乗用車を主体とする旅客部門の17年度のエネルギー消費量は、燃費性能に優れたハイブリッド車(HV)や軽自動車の市場構成比が高まったことで4年連続で減少した。

旅客部門のエネルギー消費の8割を占める自家用乗用車の燃費改善が進んだことで、部門全体のエネルギー消費量もピーク時の02年度に比べ2割以上減少した。

白書は、最新のエネルギー需給動向やエネルギー政策をまとめている。19年度版では、第1部のトピックとして、福島復興の進捗を紹介。このほか主要国における温室効果ガス排出状況の比較や各国エネルギー政策の動向、近年の自然災害への対応とレジリエンス強化に向けた取り組みを説明している。第2部はエネルギーに関するデータ集、第3部はエネルギー施策の状況などを整理している。

運輸部門のエネルギー消費の動向は、乗用車やバスなどの旅客部門と陸運や海運、航空貨物などの貨物部門に分けてまとめている。17年度のわが国の最終エネルギー消費全体に占める運輸部門の比率は23・2%で、旅客部門のエネルギー消費量は運輸部門全体の59・3%、貨物部門は40・7%を占めた。

1965年度の運輸部門のエネルギー消費量は、最終エネルギー消費全体の18%で、その構成比は旅客部門が41・5%、貨物部門が58・5%だった。73年度までの8年間でエネルギー消費量は運輸部門全体で2・3倍(年率10・8%増)となり、二度の石油ショックを経て伸び率は鈍化したものの、73年度からピークを迎えた01年度までの28年間でさらに2・1倍(年率2・8%増)に拡大した。

一方、00年代以降は輸送量の低下と輸送効率の改善などで、運輸部門のエネルギー消費量は減少に転じた。17年度のエネルギー消費は65年度からの52年間で見ると3・9倍、年率2・6%の増加となった。このうち旅客部門は5・6倍(年率3・4%増)、貨物部門は2・7倍(同1・9%増)と、旅客部門は貨物部門以上に増加している。

74年度に旅客部門が貨物部門を上回り、17年度には貨物部門の1・46倍となっている。73年の最終エネルギー消費を100とした場合、17年度現在の消費水準は、旅客部門が202・4、貨物部門が136・6となっている。

旅客部門のエネルギー消費量は、自動車の保有台数の増加もあって、GDPの伸び率を上回るテンポで増加してきた。だが、02年度をピークに減少に転じ、17年度にはピーク期に比べて21%縮小した。これは、自動車の燃費が改善したことに加え、HVや軽自動車などの低燃費なクルマのシェアが高まったことが大きく影響した。

旅客部門のエネルギー消費の内訳を見ると、67年度以降は自家用乗用車が半分以上を占め、堅調に増加してきた。自家用乗用車のエネルギー消費量は01年度をピークに減少傾向を示しているものの、依然として旅客部門全体の約8割を占めている。
旅客部門におけるエネルギー源は、17年度では76・4%が主として乗用車に使われるガソリン、7・4%が軽油、7・2%が航空に使われるジェット燃料油、3・3%が主として鉄道に使われる電力だった。

 

貨物部門のエネルギー消費量は、第二次石油ショック後の80年度から82年度まで前年度実績を割り込むことがあったものの、基本的には拡大を続け、96年度にピークに達した。それ以降は、減少傾向に転じ、17年度にはピーク期に比べて24%縮小した。貨物部門は経済情勢、燃料価格の変動、産業構造の変化及び省エネルギー技術の普及などに影響されやすく、そのエネルギー消費量は旅客部門に比べ、伸びが穏やかで、より早い時期に減少局面に転じ、その減少幅がより大きいのが特徴だ。

貨物部門のエネルギー消費の内訳を見ると、約9割が自動車で占められている。90年度は、自家用トラックのエネルギー消費は貨物部門全体の半分以上を占めたが、95年度をピークに減少に転じ、全体に占める比率も低下した。一方、営業用トラックのエネルギー消費は90年代にかけて増加し、02年度から自家用トラックを上回るようになったが、06年度にピークに達し、その後は減少に転じた。

船舶のエネルギー消費は、高度経済成長期を通じて増加したものの、80年度から減少に転じた。そして、90年代はほぼ横ばいか、やや増加する傾向にあったが、02年度から再び減少傾向に転じた。航空のエネルギー消費量は、輸送能力の増大や輸送コストの低廉化などによって、90年代半ばまで輸送量の急増とともに伸びたが、その後、経済の停滞とともに伸び悩んだ。鉄道のエネルギー消費は、87年度まで急速に縮小したが、その後はほぼ横ばいで推移した後、90年代中期以降、再び減少傾向となった。

17年度の貨物輸送のエネルギー源は、67・2%が主として大型トラックによって消費される軽油、22・4%が主として配送用の小型貨物車で消費されるガソリン、残りが主として船舶に使われる重油や航空用のジェット燃料油などだった。

日刊自動車新聞8月17日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

資源エネルギー庁

対象者 自動車業界
リンクサイト

エネルギー白書2019

https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/