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2019年8月19日

近畿経産局がシンポジウム、ダイバーシティがなぜ今、必要なのか

「なぜ今、ダイバーシティが必要なのか。ここを掘り下げないとダイバーシティは進まない」―。近畿経済産業局が2日に大阪市内で開いた「ダイバーシティ経営シンポジウム」で、三菱重工業や三菱電機、住友電気工業の社外取締役を務める一橋大学大学院経営管理研究科経営管理専攻教授のクリスティーナ・アメージャン氏がこう提言した。日本企業での就労経験を踏まえた「企業と社会を変革するためのダイバーシティ経営」と題する講演に出席者は熱心に耳を傾けた。

[外国人の意見入れイノベーションも] シンポジウムのテーマは「外国人材が活躍するダイバーシティ経営の推進」。アメージャン氏は「日本は『みんな同じ』という企業が多い。この考えでも十分企業として成長できたが、今はダイバーシティのない企業は生き残れない」と厳しい言葉を投げかけた。

外国人の受け入れは、人手不足の解消や海外進出、ビジネスの拡大など様々な目的がある。特に新ビジネスの創出では外国人の意見を取り入れることでイノベーションが生まれやすい。

[40~50代の理解不足が停滞する課題] 一方でアメージャン氏は「ダイバーシティは非効率でもある」と指摘する。個人の考えや仕事のやり方が周りに合わず、摩擦も避けられないからだ。ただ、「対立があるからイノベーションが起こる」と企業成長につながる側面も強調した。

ダイバーシティ推進が停滞している企業の課題として、40~50歳代の理解不足が挙げられる。アメージャン氏は「昭和の企業風土が残っている」との見解を示すとともに、解決策としてダイバーシティ推進への意欲や取り組み方を人事評価項目に盛り込むことや、外国人採用後の効果を社内で共有することを提案した。

講演に続き、2018年度の「新・ダイバーシティ経営企業100選」を受賞したエクセディが取り組み事例を紹介した。グループで25カ国に44拠点を展開し、ダイバーシティ推進では女性・障害者・外国人が働きやすく活躍できる場を整えている。

[海外販路拡大へ社内もグローバル化] 大阪府寝屋川市の本社工場では女性向けのトルクコンバーターの製造ラインを設置した。電源ボタンを低い位置に設置するなど女性が使いやすい仕様に変更している。女性専用の休憩部屋も設け、女性がのびのびと働ける環境が特徴だ。障害者雇用では特例子会社「エクセディ太陽」を設立した。一つの作業に集中できる個人の特性を生かし、主に軽作業を担う。

グローバル人材開発本部人材開発部の石川潤一部長は外国人材の活用について「海外販路拡大に向け社内もグローバル化する必要があった」と背景を説明した。このために企業理念の「EXEDY WAY」を多言語翻訳し、国内外のグループ全従業員に配布した。

技能実習生の受け入れも積極化している。日本でものづくりを学び、グループの海外拠点で活躍してもらうのが目的だ。祈祷室の設置をはじめ、社内の注意事項や自動販売機の表示の多言語化など外国人がストレスなく生活できるように配慮している。

石川部長は「会社が生き残るためにはダイバーシティが不可欠。全従業員が能力を発揮できる職場づくりを今後も進める」と積極的な取り組み姿勢を示した。

日刊自動車新聞8月15日掲載

開催日 2019年8月2日
カテゴリー 展示会・講演会
主催者

近畿経済産業局

対象者 大学・専門学校,一般,自動車業界