自動車産業インフォメーション

デンソーのQRコード25周年 製造現場の〝便利〟に貢献 世界中で生活全般に浸透

2019年8月13日

自動車部品の生産現場で生まれたQRコードが誕生から25周年を迎えた。開発したのはデンソーウェーブ(当時=デンソー)。特許を無償で公開し、自動車業界だけではなく、キャッシュレス決済やインターネットへのアクセスなど生活の利便性を高める身近なツールとして世界中に根付かせた。四半世紀前に生まれた技術はさらに進化しようとしている。

1994年にデンソーが開発したQRコードのルーツは76年、トヨタ生産方式(TPS)に対応するためにバーコードを導入したことにある。70年代にトヨタグループに展開されたTPSは、生産効率の改善に大きく寄与した一方、部品の納入頻度は週1回から毎日に増え、サプライヤーの負担は増加した。そこでデンソーはバーコードを導入し、リアルタイムに生産情報を取得できる仕組みを構築した。

ところが、90年代初めにバブルが崩壊すると状況が変わる。作れば売れる大量生産の時代は終わり、多品種少量生産が求められるようになると、生産現場で扱われる情報量は膨大化。「バーコードでは処理しきれない。新しいコードが必要だ」。囲碁に着想を得て開発者の原昌宏氏(現デンソーウェーブAUTO―ID事業部主席技師)は、QRコードを開発した。

縦方向と横方向の黒色と白色で情報を表現するQRコードは、1次元のコードであるバーコードに対し、約200倍の情報量を収納できる。名前のQRは、一度に多くの情報を取得できる特徴からクイック・レスポンスの頭文字を取った。QRコードを普及させ、スキャナーで稼ごうと特許を無償公開したことから自動車の生産現場で一気に普及が進んだ。

2000年代に入ると、JIS規格、ISO規格に制定されたことで公共サービスにまで利活用の場は拡大。自動車業界でいえば、04年に事務処理の簡略化や偽造を防止するため、車検証に自動車登録番号や所有者情報などを収納したQRコードが記載されるようになった。さらに、00年半ば以降は、カメラ付きの携帯電話が普及し、コンシューマー市場でも利用されるようになった。

至る所で目にするようになったQRコード。昨年後半からは、首都圏を走る電車の窓にQRコードのステッカーが貼られるようになった。QRコードをホーム側に設置したカメラで認識し、転落防止用のホームドアの開閉位置とタイミングを制御するためだ。すでに試験運用は終了し、都営地下鉄では今秋をめどに本格運用を開始するという。

用途開拓だけではなく、QRコードそのものも進化している。07年には、セキュリティー機能を付加した「SQRC」、14年には中央部にロゴマークなどを自由に配置できる「フレームQR」を開発した。「コードをカラー化すれば情報量をさらに増やせる」と原氏。製造現場で生まれた産物をさらに進化させ、社会課題の解決に注力する考えだ。

日刊自動車新聞8月10日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

(株)デンソー

対象者 大学・専門学校,一般,自動車業界
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