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自動車産業インフォメーション

2019年8月10日

中企庁協議会、金型取引ルール明確化へ議論開始

経済産業省・中小企業庁は、自動車メーカーから部品、素形材まで自動車産業のサプライチェーン全体を巻き込んだ金型取引の適正化に関するルールづくりに着手した。

これまで受発注間で型の所有権や管理費用の負担といった取引条件が明確化されておらず、8割超の受注側が保管費用の大半を負担するケースが出ていた。コスト負担が見直されなければ、中小企業の利益圧迫につながり、自動車業界の競争力低下の影響もある。検討会での議論を経て、10月をめどに報告書を策定する。 金型は、さまざまな製品を造る上で欠かせないツール。プレス型やプラスチック型、鋳造型など多様なタイプがあるが、自動車産業向けが7~8割程度を占める。

金型代の支払いについては、全業種平均で8割弱が発注事業者から受注サイドへ一括で支払われる。ただ、自動車産業は商習慣で分割比率が高く、全額一括の支払いは6割超にとどまり、2割は分割払いとなっている。代金の回収に年月を要するため、中小事業者のなかには銀行借り入れで凌ぐ企業もあるという。

型の取り扱いでは金型の発注書がなく所有権が曖昧な状態のパターンが多い。また、型保管の取決書があっても、それを越えて長期保管を要求されるケースもある。中企庁などが実施した調査では約4割の受注企業が廃棄・返却していないと回答。8割超の受注事業者が保管費用の多くを負担していることも明らかになった。

6日に、日本自動車工業会や日本自動車部品工業会、電子情報技術産業協会(JEITA)などからなる「型取引の適正化推進協議会」の初会合を開催し、型管理適正化のルールづくりに関する議論を始めた。委員からは「サプライチェーン全体での取り組みが必要。自動車・部品・素形材メーカーの連携で、日本の自動車産業の競争力強化に取り組まないといけない」(自工会)との声が挙がった。

前田泰宏中企庁長官は「事業者の皆様がコミットできる新たな規範をつくり、所有権のあり方などについて明確な方向性を決める」と述べた。同協議会は9月中旬に第2回目の会合を開いた後、9~10月中旬に意見公募を実施し、10月下旬にも報告書を策定する。

日刊自動車新聞8月7日掲載

開催日 2019年8月6日
カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

経済産業省・中小企業庁

対象者 自動車業界