2019年8月9日
近畿地区事業者、スキャンツール補助金の活用慎重姿勢浮き彫り
7月24日に始まった国土交通省のスキャンツール補助金に対する近畿地区の整備事業者の反応が例年に比べて緩やかだ。日刊自動車新聞社関西支社が6府県の整備商工組合や整備振興会に状況を聞いたところ、事業者の慎重な姿勢が浮き彫りとなった。
車載式故障診断装置(OBD)車検や新たな認証制度「特定整備」の開始に伴ってスキャンツールが必須になる一方、現時点で診断機の規格が定まっていないこともあり、新規購入に二の足を踏む事業者も多いようだ。 スキャンツール補助金は今年で7年目。予算額は前年同様1億5千万円で、公募期間は10月31日まで。各商工組合や振興会はホームページや会報誌などを通じて補助金の開始を事業者に伝えているが、例年と比較して事業者の反応はまばらだ。
大阪府自動車整備振興会・同商工組合は全会員・組合員にFAXで補助金開始を告知済みだが、前年と比較して問い合わせ件数が少ないという。他地域も同様の取り組みを展開しているが、総じて事業者は模様眺めの様子だ。兵庫県自動車整備商工組合は「現状では反応がほとんどなく、今年の滑り出しは緩やかだ。今後、周知活動に取り組んでいく」と方針を示す。
例年に比べ事業者の動きが鈍いのは車検や認証制度の改革が一因と見られる。開始が決まったOBD車検や特定整備に対応可能なスキャンツールの規格はいまだ定まっていない。現行のスキャンツールを購入しても、OBD車検や特定整備で使用できない可能性もあることが、投資の決断を遅らせている。
業界関係者からは「将来を見据えて今回の補助金に対して様子見する事業者も多い」「各種認証要件や特定DTC(故障コード)が決まっていないことが新規購入を抑制している」という声も聞かれる。
一方、全国的には補助金の消化がハイペースだ。7月31日夕方時点の累計申請件数は319件で、累計補助交付申請額は4053万2千円に達した。9月上旬に公募を打ち切った前年とほぼ同ペースで、予算消化率はすでに27%を超えた。近畿では慎重な姿勢の事業者が多いが、今年も締め切りを待たずに補助金が打ち切られる可能性が高そうだ。
日刊自動車新聞8月6日掲載
開催日 | 2019年7月24日 |
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開催終了日 | 2019年10月31日 |
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
主催者 | 国土交通省 |
開催地 | 近畿地区 |
対象者 | 自動車業界 |