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2019年8月8日

埼玉工大がミクニライフ&オートと私大初の自動運転バス開発

埼玉工業大学(内山俊一学長、埼玉県深谷市)は、私立大学で初となる一般の公道を走行可能な自動運転バスの開発に着手し、1日に公開した。来年には福祉車両の架装・改造などを手がけるミクニライフ&オート(大西浩樹社長、埼玉県加須市)と連携し、BtoBでの商用化を目指す。販売価格は未定。

[ベースはジョイ・カー] 同バスは今春から開発に着手してきた。24人乗りで日野自動車のマイクロバス「リエッセⅡ」をベースに「自動運転AI(AIPilot/Autoware)」を実装したもの。実験車両は2009年から埼玉工大とミクニライフ&オートとが共同開発している「ジョイ・カー」がもととなっている。

ジョイ・カーは、身体に障害がある人でも自動車の運転ができるよう、ジョイスティックで動かせるように改造した自動車。11年から市販されており、公道を走行している。同大学の渡部大志教授はこのジョイ・カーとAutowareとの接続を可能にする接続マイコンを東京農工大学大学院の和田正義准教授と共に開発した。この技術が現在開発中の自動運転バスの基盤となっている。

自動運転バスはAI制御による自動走行が可能で、障害物を検知し回避して、追い越し走行をすることもできる。バス専用レーンや走行規制のある特定のコースだけではなく、市街地の一般道での走行を目指している。

今回の開発は、埼玉県が将来の事業化を目指して行われるスマートモビリティの実証実験を支援する「埼玉県スマートモビリティ実証補助金」に今年度採択された。埼玉工大では、4月から自動運転の技術の全学的な研究組織として「自動運転技術開発センター」を設立して、自動運転の実用化に向けた研究・開発を強化し、新開発体制の下で自動運転バスの開発に注力している。

[更に最適化を目指し] 東京農工大大学院の和田准教授は、「今はまだ期間も短いということもあり、持ち合わせのマイコンを使っている。そこを自動運転に向けてさらに最適化していきたい」と話す。販売などを担当するミクニライフ&オートの齋藤征道氏は「今回はバスで電源が24㌾というのが初めてだった。なかなかうまく進まないところもあったが、だいぶわかってきた。今後はもう少しブレーキ性能を良くしたい」と語った。

自動運転バスは、17日に東武鉄道・坂戸駅前で行われる「坂戸夏よさこい」の開会式で初めて公道走行を行う。さらに、9月下旬には本庄早稲田国際リサーチパーク(埼玉県本庄市)での走行を行う予定だ。埼玉工大の渡部教授は「(本庄早稲田リサーチパークでの走行前までには)通常の車両と一緒に安心して走れるように調整して臨みたい」と意気込んだ。

日刊自動車新聞8月5日掲載

開催日 2019年8月1日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

埼玉工業大学

開催地 埼玉県深谷市
対象者 大学・専門学校,自動車業界