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2019年7月31日

〈話題リポート〉シルバー中心に多様な色域 BASF自動車カラートレンド予測

クルマの技術進化が車体色のトレンドを変えようとしている。独BASFは先ごろ行った「2019―2020年自動車カラートレンド予測」で、従来は人気が弱かったシルバーを中心とした多種多様な色域が注目を浴びていくとの予測を発表した。特に新しい価値観を表すホワイトとシルバーの中間色が、未来のモビリティを象徴する色として人気になると予想している。このほか、今後3~5年間のグローバルでの地域別のカラートレンドも発表した。

BASFは、今年のトレンドテーマとして「ACT/9(アクトスラッシュナイン)」を掲げた。デジタル化で新たな世界を創造する行動(アクト)と、新時代の手前であることを9という数字で表現した。また、従来は一つの企業に勤め続ける勤務形態が主流だったが、こうした既存の働き方にとらわれない「スラッシュ世代」と呼ばれる人たちが増えている。デジタル化と価値観の変容をテーマに表現した格好だ。

今回発表されたカラートレンドには、自動運転や次世代モビリティサービスの進展などの技術革新が大きく影響している。これらを生み出す自由な発想が、白みがかったシルバーという新しい表現の誕生につながったと考えている。さらにトレンドが継続すると見られるブルーやグレーに関しても、ブルーグリーンやソリッド調のグレーなど、豊富な種類が出現すると予測している。

地域別に見ると、アジア太平洋では新しい行動範囲への意識が、白みがかったシルバーや暖色系の色味として現れているほか、アジア太平洋地域での技術はシルキーな無彩色メタリックのように明るい色として表現される。全体的に控えめで親しみやすいカラーが特徴だ。

EMEA(欧州・中東・アフリカ)は、従来からのしきたりが変化していることから、バイオレットメタリックのような珍しい色やベージュ・ゴールドなどの個性的な色が一般化する可能性がある。同地域では自動運転などの新たなモビリティへの関心から、機能追求を思わせる人工的な印象の色も人気になる可能性もある。

北米ではテクノロジーへの高い関心から、明暗関係なくさまざまな色が人気を集めているほか、メタリックカラーの全体的な印象が柔らかくなっている、角度によって異なる色に見えるカラーが注目されている。機能性と美的感覚の融合が重視されるのが北米地域の特徴だ。

地域別以外にも、三つのコンセプト別に特徴あるカラーを発表した。一つ目の「SHIFT.」に当てはまるのは、メタリックシルバーのほかスパイシーレッドやボヘミアンブルーなど、自然界を思わせる温かみのある色。デジタル化で柔軟な考え方が可能になった結果、より個人の価値観にあった生活ができるようになったことを象徴している。二つ目の「RENDER!」はデジタル化による大胆でスマートな変革を表現する色だ。明るいメタリックブルーやダークレッド、ゴールドベージュなどはっきりとした主張や勢いを表すようなクリアさを特徴とする。三つ目の「SHAPE;」は人間とテクノロジーとの共生を表す。人間が自動運転や人工知能(AI)などとどう付き合っていくかという、現代における課題を表した色だ。人間の感情をイメージした淡い色みのメタリックカラーと最先端のテクノロジーを表す鮮やかなブルーなど、人間とテクノロジーの両方を表現するコンセプトだ。
同社はカラートレンドについて「ポストデジタルの時代到来とともに、テクノロジーから人へと関心が移行している傾向にある。そのようなかつてない新しい時代を創造する力強い行動を今年のトレンドテーマとして発表した」としている。

日刊自動車新聞7月27日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

独BASF

対象者 自動車業界