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自動車産業インフォメーション

2019年7月29日

エネ研見通し、不透明な原油価格

日本エネルギー経済研究所(豊田正和理事長)は23日、2019年下期(7~12月)平均の国際原油(北海ブレント)価格が1 バレル (約159㍑)60~70㌦の水準で推移するとの見通しを公表した。20年も同等の価格水準を見込む。ただ、中東・ホルムズ海峡付近でタンカー攻撃事件が発生するなど、エネルギーセキュリティーを巡る問題が顕在化している。国家間の緊張が高まれば基準より同15㌦高い水準を見込む。米中貿易摩擦に伴う経済リスクによっては同10㌦よりさらに低い水準を予想する。 19年下期の世界の石油需給見通しは、米国の経済制裁によるイランなどの生産減少や石油輸出国機構(OPEC)の協調減産などでややタイト化する。20年上期には米国の増産などにより需給がバランスする見通し。

今回公表したブレント価格はこの需給バランスを前提に直近の原油相場を踏まえて出した。19年下期平均で1 バレル 60~70㌦の推移を予測するが、地政学リスクにより上振れする可能性がある。

特に中東情勢を巡ってホルムズ海峡のタンカー攻撃問題などで緊迫化している。ホルムズ海峡は石油輸送の世界最大の要衝で、日本の原油輸入の約80%が通過している。

地政学リスクが顕在化すれば基準より1 バレル 15㌦高くなり、仮に偶発的に軍事衝突に発展したり、問題がこじれて長期化した場合「同100㌦を超えても不思議ではない」(橋爪 ■(吉の士が土) 博事務局長)と見る。

原油価格が下振れる要因の一つとして米中貿易摩擦を挙げる。両国間の通商問題に伴い中国経済が減速し、石油需要の伸びも鈍化している。中国の19年第2四半期の新車販売台数は、前年同期比90万台減の600万台と「新車販売の頭打ちが顕著になっている。景気が減速傾向にある」(同)。英国の欧州連合(EU)離脱問題もくすぶり、経済リスクとして1 バレル 10㌦低い水準を見込む。米中の関係が悪化すればさらに下落する可能性がある。

日刊自動車新聞7月25日掲載

開催日 2019年7月23日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日本エネルギー経済研究所

対象者 一般,自動車業界