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自動車産業インフォメーション

2019年7月15日

日産と三菱自、国内新車輸送を集約、混載共同配送も視野

日産自動車と三菱自動車は、国内の新車輸送業務を一本化する。三菱自の新車輸送を行う物流子会社の業務を8月に日産の新車を輸送するゼロに集約し、混載共同配送に向けた体制を整える。新車輸送にも協業を広げ、輸送コストの低減やドライバー不足に対応するほか、納車期間の短縮効果も見込む。 これまで日産はゼロに、三菱自は子会社の三菱自動車ロジテクノ(小林弘知社長、川崎市高津区)に新車の輸送業務を委託してきた。アライアンスの相乗効果を最大化する一環で、新車の共同配送を検討してきたが、窓口が二社に分かれている現状では効率化が進めにくかった。

このため、ゼロに業務を集約し、輸送能力の確保や施設の共同利用によるコスト削減を実現するとともに、ディーラーへの共同配送に向けたシステムの構築を進める。日産と三菱自の新車共同輸送はタイなどの東南アジアで進めており、国内でも早期に開始したい考えだ。

三菱自動車ロジテクノで国内新車輸送業務に携わる50人のうち30人が三菱自本体で物流関連業務を担当する部署に移り、残りの人員が主にゼロに転籍する。国内販売店向けの新車輸送業務に加え、国内で生産する輸出向け車両も工場から積み出し港までの業務はゼロに移管する。三菱自動車ロジテクノは存続し、補修部品や用品の輸送など既存事業を続ける。

日産と三菱自の両社は、新車のほか、これまでも国内輸送業務の協業を進めてきた。補修部品の輸送では、2018年夏に日産の相模原部品センター(神奈川県相模原市)に三菱自動車ロジテクノが入居し、近隣に部品倉庫がなかった関東圏の三菱自系販売店への納期を短縮。三菱自動車ロジテクノが手がける新車納入前の点検作業も一部地域で日産側に委託し始めた。今後、新車の共同輸送も実現し、相乗効果の最大化を図る。

新車の共同配送を見据えた事業移管の背景には輸送業界を取り巻く深刻な人手不足がある。厚生労働省によると、貨物自動車運転手(パート含む)の有効求人倍率は全職種の2倍近い約3倍程度と高水準で推移している。日産、三菱自のほか、国内自動車メーカーと系列物流会社では新車の共同配送を段階的に進めており、今後もこの流れが加速しそうだ。

日刊自動車新聞7月11日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日産自動車㈱、三菱自動車工業㈱

対象者 自動車業界