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2019年7月11日

SBドライブ、自動運転前提車両 国内で初の公道実証実験都内で実施

SBドライブ(佐治友基社長兼CEO、東京都港区)は3~5日の3日間、都内の「汐留シオサイト5区イタリア街」の公道でハンドルがない11人乗りバスの実証実験を実施した。同社によると、自動運転を前提に設計された車両が車の進入を制限せずに公道を走るのは国内で初めて。国内初の公道実証実験で、2020年の商用化に向けてまた一歩前進した。 今回の実証実験は、仏ナビヤ社製の自動運転バス「ナビヤアルマ」に日本の公道を走るための保安基準を満たす装備を追加して実施した。ベース車に装備がないウインカーやブレーキなどのランプ類や車の操縦が行えるゲームコントローラー、運転席を追加し、国土交通省関東運輸局長から道路運送車両の保安基準第55条による基準緩和の認定を受けナンバーを取得した。

ナビヤアルマは、ルーフの前後に搭載する3次元(3D)LiDARなどで人や車を検知しながら、3D地図をもとにあらかじめ設定したルートを低速で自律走行する。今回の実験では機能させていないが自車位置を測定する全地球測位システム(GPS)なども搭載する。

実証実験の舞台となったイタリア街は、欧州の街並みを再現したオフィスや飲食店が並ぶエリアだ。走行実証ではエリア内にある駐車場を発着点として、約300㍍の周回ルートを時速15㌔㍍未満で走行した。3日間で警察や国土交通省、有識者などの約150人の関係者が試乗した。

実証実験の運用は、中型以上の免許保有をはじめ運行管理者の資格、ソフト・ハードウエアの知識を持つ同社社員が運転手と保安員として1人ずつ乗車する万全な体制を取った。運転手は後部にある運転者のポジションに立ち、コントローラーを握った状態で乗車する。車の発進は車両後方の右側に設置したディスプレーのタッチパネルを操作。あらかじめ設定した周回コースを走行する。路側帯に差し掛かる時や歩行者などを検知して一時停止した場合も、運転手が目視で安全を確認しタッチパネルの操作で再発進する。緊急時はコントローラーによる手動運転に切り替え、センサーなどに不具合があれば停止する仕組みとしていた。

3日開いた報道向け試乗会で佐治社長兼CEOは自動運転バスによる移動サービスで「地方の交通インフラを充実させる打開策となる」と話した。過疎地域は人口流出などで公共交通のドライバー不足が深刻化する。現在の交通インフラの代替となり得る自動運転バスはドライバー問題を解消するとともに「観光需要など新たな経済活動の創出も可能にする」と公道での実証実験の意義を説明した。

「自動運転を前提に設計した車両による国内初の公道走行」に対する過度な期待は裏切られた。コースは1種類で、停止車両の追い越しなどコースを少しでも外れることも許されていなかったからだ。実証実験中の事故で自動運転を否定されかねない状況にしないためにも必要な措置と考えれば理解できる。ただ、佐治社長兼CEOからは「(センサー類の検知距離が延伸すれば)路上駐車する車両の追い越しも自律走行でできる」と期待させる話もあった。一時停止のたびに体が前後に揺られるなど乗り心地には不満は残ったが、商用化に向けて前進したとすれば価値ある実証実験だった。

日刊自動車新聞7月8日掲載

開催日 2019年7月3日
開催終了日 2019年7月5日
カテゴリー 展示会・講演会
主催者

SBドライブ㈱

開催地 汐留シオサイト5区イタリア街」の公道
対象者 自動車業界
リンクサイト

ニュースリリース https://www.softbank.jp/drive/