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2019年7月9日

国交省調査、高速道の一時退出に 8割が好意的

国土交通省は、高速道路を一時降り、最寄りの道の駅に立ち寄っても1時間以内に再び戻れば、降りずに利用した通行料金と同じになる「賢い料金」の利用状況をまとめた。利用者に行った意識調査によると、この実験を好意的に受け止める人が全体の8割を占める一方、1時間という一時退出の可能時間が「短い」とする回答も3割からあった。同省は今後、利用可能なインターチェンジ(IC)を拡大するとともに、上限時間についても検証を進めていくことにしている。

国内の高速道路には、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)の休憩施設同士の距離がおおよそ25㌔㍍以上離れている空白地帯が約100区間ある。同省はこの空白を半減させる取り組みとして、2017年度からETC2・0の利用車両に限り、高速道路を一旦出ても、1時間以内なら通行料金を変えずに道の駅を利用できる実験を開始した。
現在、この対象になっている道の駅は全国に20カ所ある。発表されたそれぞれの道の駅の1年間の利用状況によると、「もっくる新城」(愛知県新城市)が平日・休日ともに利用台数が最も多かった。このほか、「舞ロードIC千代田」(広島県北広島市)など、東西の物流ルートに位置する道の駅では大型車の一時退出利用が多く、「玉村宿」(群馬県玉村町)などの観光地域周辺の道の駅は休日の小型車利用が大きく増加するなどの傾向が見られた。

この実験サービスを利用した人のアンケートによれば、「休憩施設の選択肢が増えてよい」とした回答が79%、「SA・PAの混雑を避けられる」が55%から寄せられるなど、肯定的な感想が多かった。さらに、一時退出のサービスを今後も利用したいかどうかの質問についても78%が「同じ箇所で再度利用したい」、53%が「ほかの箇所でも利用したい」と答えた。
利用した人の多くが好意的な反応を示す一方、利用可能な時間や対象については改善の要望もあった。一時退出時間の1時間をどう思うかの質問には「適切」とした回答が67%あったものの、「短い」とする回答も30%から寄せられた。今後、どういった条件が拡大されれば道の駅を利用するかの質問には53%が「上限時間の引き上げ」、43%が「利用可能ICの拡大」を求めた。

同省はこうした利用者の声に対応するため、一時退出の実験対象となる道の駅を「木更津うまくたの里」(千葉県木更津市)など、3カ所を追加する。利用可能時間については具体的に示されていないが、今回の調査では通行料金の調整から外れる1時間以上の利用者も約2割あったことが分かっている。
高速道路からの一時退出を可能とする今回の実験は、普及台数が約390万台にとどまっているETC2・0の底上げにつなげるのも狙いだ。伸び悩むETC2・0の普及を促進するためにも、今回の調査に基づく検証が進められるものと見られている。

日刊自動車新聞7月6日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

国土交通省

対象者 一般