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2019年7月3日

自動車ディーラー、女性活躍の場広がる

自動車ディーラーで女性活躍の場を広げる動きが目立ってきた。多くのディーラーでは、女性社員のアイデアを生かした店舗づくりに取り組むなど女性の力を引き出す活動を推進している。さらに一歩進む形で、岩手ダイハツ(中田利光社長)のように女性スタッフの管理職登用制度を導入し、キャリアアップを支援する動きも加速している。東京日野(桑原優社長)では昨年、女性社員対象の新たな研修を実施。業務改善など仕事とは切り離した内容として、自らを見つめ直し内面の力を高められる試みも行った。女性のさらなる活躍は業界の活性化にもつながり、今後もこうした流れが加速しそうだ。

2016年に「女性活躍推進法」が施行されてから、女性社員が働きやすい環境づくりに取り組む企業が増えている。長年、男性社会と言われてきた自動車ディーラーやアフターマーケット業界でも例外ではない。女性ユーザーが増える中、きめ細かな顧客対応などに女性スタッフの力は欠かせないものとなっている。このため、多くの企業では女性の従業員満足(ES)の向上を重視し、環境整備に力を注いできた。
こうした流れは教育現場にも広がっている。トヨタ神戸自動車大学校(大塚生介校長、神戸市西区)は4月、女子生徒のみが進学できる「ショールームスタッフ科」を開講。早い段階から、女性の長期的な活躍を見据えた教育を行っている。卒業後すぐに、業界内で活躍できる優秀な女性の人材創出につなげていく狙いだ。

一昔前に比べ、着実に女性に対する環境整備が進んでいるが、実際に働いている女性スタッフとの意識に差があるのも事実だ。人材派遣のパソナグループが全業種を対象にこのほど行った実態調査によると、「働き方に理想と現実のギャップがある」と感じている女性が20~29歳で47・5%、30~49歳では54・2%、50~69歳で39・3%と軒並み高い水準を示しているのが分かった。未だ女性の働き方には、課題が多く山積していることを裏付けている。
特に、共働き世帯が増える中、結婚や出産、育児などライフステージの変化が起こりやすい30~49歳で半数を超えていることは、仕事をしながら子育てしやすい環境づくりがもっと必要だとみられる。育児休暇制度の充実や育休中のキャリアアッププランなど、女性に不利にならない制度や仕組みづくりがもっと重要になりそうだ。

少子化が進む日本では今後、超高齢化社会になっていく。労働人口も減少していく中で、国内における人材不足はより深刻になるとみられている。この解決策の一つになるのが、女性であることに間違いない。女性特有のライフイベントなども考慮しながら、いかにして女性に活躍してもらえる次代の自動車業界をつくっていくかが重要課題だ。これを実現していけば、次第に女性の働き方の理想と現実のギャップは埋まっていくものとみられる。

日刊自動車新聞6月29日掲載

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