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2019年7月2日

ヤマハ発 低速自動運転EVを公道実証実験 交通への影響把握

 

ヤマハ発動機は、低速自動運転車両の実証実験を静岡県磐田市内で7月から開始する。最長4・2㌔㍍の公道ルートを最高時速20㌔㍍で自動運転走行し、システムの機能検証や低速自動運転車が交通に与える影響などを把握する。ヤマハ発は、低速で走る小型電気自動車(EV)「ロースピードモビリティ」を活用した街づくりを推進しており、自動運転技術を実装することで高齢者や過疎地域の交通課題の解決を目指す。

ヤマハ発は、1996年に電磁誘導式自動走行のゴルフカーを実用化した。その後、ゴルフカーをベースとしたランドカーに発展させ、保安部品を取り付けてナンバープレートを取得した車両で公道走行を行うなど利活用を進めてきた。自動運転技術は、地中に埋設した誘導線の磁力を感知して走行を行う電磁誘導をはじめ、路面状況をカメラで読み取りルートを走行するVGL(ヴァーチャルガイドライン)、高精度地図と三次元LiDAR(ライダー)による位置検出など様々な方式を検証してきた。
磐田市内で行う実証実験はVGL方式を採用した自動運転ランドカーを利用する。軽自動車規格で乗車人数は4人。自動運転走行のために路面状況を読み取るカメラと、障害物を検出するセンサー4機、目的地を設定するタブレットなどを搭載する。同社がVGL方式による自動運転実証実験を公道で行うのは初となる。
走行ルートは来春開業予定のJR御厨駅と周辺住宅街を結ぶ最長4・2㌔㍍。比較的交通量が少なく、後続車が追い越し可能な幅員がある6ルートを設定し、低速自動運転車が公道を走行することで「渋滞が起こるのか、追い抜きが発生するかなど、さまざまな挙動を確認する」(担当者)。公道での実験期間は2年間で、技術面だけでなく低速自動運転EVの社会受容性も含めた検証をしていく。

実証実験は、昨年10月に地元・磐田市と締結した連携協定に基づく。ヤマハ発の日髙祥博社長は「磐田市で(実証実験ができる)何よりのアドバンテージはエンジニアがすぐに対応でき、フィードバックを受けて次の改善につなげるPDCAを回せることができること」と話す。ロースピードモビリティがもたらす交通の変化をより近い場所で確認していく考え。
28日に開催した出発式で、磐田市の渡部修市長は実証実験終了後について「公共交通機関として利用する気持ちはある。どんな形であれ、走らせるということはやっていきたい」と低速自動運転EVに期待を寄せる。ヤマハ発の日髙社長も「ランドカーは車両価格も安く、VGLは電磁誘導式に比べインフラ整備も必要ない」と低コストで導入できる点を強調する。ドライバー不足や利用者減少による採算悪化で地方の公共交通が淘汰される中、交通弱者である高齢者や過疎地域の移動手段として可能性を模索していく。

日刊自動車新聞6月29日掲載

開催日 2019年6月28日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

ヤマハ発動機㈱

開催地 を静岡県磐田市内
対象者 自動車業界
リンクサイト

ヤマハ発動機ニュースリリース 磐田市での低速自動運転車両の実証実験開始について

https://global.yamaha-motor.com/jp/news/2019/0627/iwata-city.html