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2019年6月25日

眼球の動き抑え疲労軽減 ダイハツ新プラットフォーム 車体、足回り、シート統合開発

ダイハツ工業は、7月に発売する新型「タント」から採用する新プラットフォーム「DNGA」で、ドライバーの眼球の動きを抑えて疲労を軽減するコンセプトを採り入れた。車の動きに連動して起きる眼球の揺れが疲労につながることに着目し、車体、サスペンション、シートを統合的に開発した。新型タントでは競合車と比較して目線が動く量を約3割低減できたとしている。

人間はある一点を注視しているとき、頭部が動くとその逆方向に眼球を動かすことで、視線を安定させようとする特性がある。ダイハツは、頭部の揺れを眼球の動きで相殺できなかった分の視線ブレや、無意識な眼球の動きが疲労の蓄積につながっているとみて、改善に乗り出した。これまでは車の上下の動きや首の揺れなどを低減するための開発をしてきたが、視覚によって生まれる疲労感を軽減させようとしたのは今回が初めて。

従来ダイハツでは、ボディー剛性やサスペンション、シート骨格、クッションは「それぞれの機能ベストを優先に開発していた」(担当者)。DNGAとして、軽自動車から新興国向けBセグメントまで車両を一括で企画し、プラットフォームを刷新する今回を機に「組み合わせでのトータルベストの開発に取り組んだ」(同)。視線ブレが少なくなるよう、ボディーで動きを抑えつつ、シートでドライバーに振動が伝わらないようにするなどトータルでチューニングした。
頭部と目の動きを同時に計測して視線ブレ量を測る社内評価では、DNGAを採用した新型タントでは、競合のハイトワゴン軽自動車と比較して視線のブレ量を約3割低減できたという。
ダイハツは今後、導入する全車両にDNGAを採用する。設計思想の共通化で開発効率や生産効率の向上だけでなく、眼球運動のような人間工学の視点も採り入れて乗り心地など快適性向上にもつなげた。

日刊自動車新聞6月22日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

ダイハツ工業㈱

対象者 自動車業界