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2019年6月25日

完全自動運転の実現へ一歩 レベル2枠内の高度化進む 限定条件下ハンズオフ今夏実用化

「レベル2」に相当する自動運転技術の高度化が進んでいる。米自動車技術会(SAE)が定めるレベル2の範囲内でありながら、限定条件でのハンズオフ機能など新たな技術が国内で今夏にも実用化される。部分的自動運転を指すレベル2は範囲が広く「レベル2+」と独自に定めた技術レベルを打ち出す企業も出てきた。レベル2の高度化は完全自動運転の実現に向けた進化である一方、緊急時のみシステム側からドライバーに運転の権限を移す「レベル3」を実用化する難しさの表れでもある。

[着実に普及進む] 0~5の6段階で自動運転の技術を定義付けするSAEは、ブレーキやアクセル(前後方向)とハンドル(左右方向)の両方をシステムが制御する運転支援技術をレベル2に定めている。国内では日産自動車が16年にアクセル、ブレーキ、ステアリングを自動的に制御する「プロパイロット」を「セレナ」に初搭載。同社は今年3月には、軽自動車初となるレベル2のシステムを「デイズ」に搭載しており、着実に普及が進んでいる。
一方で、レベル3に関しては、独アウディが17年にレベル3相当のシステムを搭載したという「A8」を発表したが、法整備の遅れを理由に日本では販売に至っておらず、ほぼ実用化できていないのが実情だ。アウディのほか、自動運転レベル3以上の実現に向けた課題に法整備の遅れを指摘する意見は少なくない。これに対し、政府は一定条件下でのレベル3を認める改正車両法を20年にも施行する見通しだ。
日産の飯島徹也AD/ADAS先行技術開発部長は「今、法律が緩和されてもできることは増えない。法整備が技術レベルより遅れているということはない」と、あくまでもコストを含めた技術水準がレベル3に達していないとの認識を示す。実際、次世代自動運転システムを搭載して今秋にも発売する新型「スカイライン」では「法律が緩和されても、納車後にソフトのアップデートで機能を増やすのは難しい」(中畔邦雄日産副社長)という。

[高度化が加速] こうした流れのなかでレベル2を高度化する動きが加速している。独BMWは今夏以降、渋滞時に限定したハンズオフ機能を日本に初めて導入し、日産は今秋をめどに目的地を設定できるナビ連動ルート走行とハンズオフ機能を搭載する「プロパイロット2・0」を実用化する。サプライヤーや半導体企業では、高速道路の分岐、合流、レーンチェンジを自動で行い、ドライバーモニタリングシステムなどを搭載した車を「レベル2+」と定義し、19~20年に対応したセンサーやチップを投入する計画だ。
矢野経済研究所(東京都中野区)によると、レベル2+の世界販売台数は現状の2千台から23年に502万9千台に急増すると予測する。当面、市販車の競争はレベル2やレベル2+を軸に展開されそうだ。

日刊自動車新聞6月21日掲載

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