会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2019年6月25日

磁気マーカー「道路付属物」に 国交省、20年度めど法改正

国土交通省は、自動運転車の自車位置推定に用いる「磁気マーカー」を道路法上の付属物として規定する方針を固めた。国家プロジェクトとして実証が進む「ラストワンマイル自動走行」などを実用化する2020年度までに関係法令を改正する。マーカーの敷設時に国や自治体などの道路管理者へ申請する必要がなくなるほか、予算的な裏付けも明確になり、自動運転技術の実用化に弾みがつきそうだ。

道路法令では、標識や照明、ガードレールなど、安全で円滑な交通の確保に欠かせない施設を「道路付属物」として規定し、道路管理者が設置や維持業務を担う。これ以外の電柱や水道管、アーケードなどは「道路占用物」として事業者などが道路管理者へ設置を申請し、許可を取る必要がある。磁気誘導に用いる磁気マーカーや電磁誘導線は現在、法的な位置づけが明確化されておらず、敷設時には道路占用物として国や自治体といった道路管理者に申請する必要があり、占用期限も設けられている。

国交省は、これまで実施した実証実験で磁気誘導方式の信頼性を確認。ラストワンマイル自動走行やトラック隊列走行などの安全確保に欠かせないと見て、法令上の位置づけを明確化することにした。有識者や関係省庁を交えた検討会で議論を始め、20年度までに関連する政省令を改正して磁気マーカーや電磁誘導線を道路付属物に加える。
磁気誘導方式は90年代に開発され、一部では実用化された。しかし、当時は磁気センサの感度が低く、強力で高価な磁石を路面に埋め込む必要があり、本格普及に至らなかった。こうした中、トヨタ自動車系の愛知製鋼が16年に感度の高い磁気センサを開発し、敷設する磁石のコストを大幅に引き下げた。
磁気誘導は、トンネル内や雪道など、GPS(全地球測位システム)やカメラが狂いやすい場所でも確実に車両位置を把握できる。国がお墨付きを与えることで、磁気誘導方式を併用した自動運転技術が国内で広がりそうだ。

日刊自動車新聞6月21日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

国土交通省

対象者 自動車業界