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2019年6月20日

自動車各社、つながる車から集まるデータ 有効活用策を協議

コネクテッドカー(つながる車)から集まる車両データの有効活用策や枠組みなどについて、自動車各社が協議を始めることが明らかになった。事故や渋滞の防止や自動運転の高度化などデータの有用性が高まる一方で、データの互換性やセキュリティ対策、事業採算などの課題もある。データの共有化や将来的な標準化まで踏み込むかどうか未知数だが、各社が個別に抱え込んでいる車両データの有効活用に向けた転機になる可能性もある。

日本自動車工業会(豊田章男会長)内に新たな会議体を今秋にもつくり、協議を始める方向で調整に入った。参加者や検討項目など詳細はこれから詰める。車載ソフトの共通化に取り組むJASPAR(吉澤隆代表理事)が検討してきた標準仕様案やセキュリティ対策案なども参考に議論を進める見通しだ。
国内の自動車メーカーでは、トヨタ自動車や日産自動車、ホンダのほか、日野自動車など商用車4社も「テレマティクス」と呼ばれるカーナビ向け情報サービスや運行管理サービスを手がける。車載器や通信のコストが下がった近年では損保や整備会社によるサービスもある。正確な統計はないが、国内のコネクテッド対象車両は合わせて300万台とも言われ、富士経済によると2025年には1千万台にまで増える見通し。

一方で、現在は車両データの互換性に乏しく、災害時に限り、各社の走行経路を集約して通行可能な道路を割り出すサービスが14年から始まった程度だ。自動運転など国内で進む各種の実証実験では、参加メーカーが個別に車両データを提供しており、政府が今月上旬にまとめた「官民ITS構想・ロードマップ」もデータの共有による有効活用の必要性を指摘していた。
各社が車両データの共有に慎重なのは、技術の進化が激しい上、データの量や質が競争力を左右する「競争領域」と捉えてきたためだ。ただ、コネクテッドカーが本格的に普及し始める今後は、データの管理やセキュリティ対策にかかるコストが膨らむ。キメ細かい交通流対策や自動運転の高度化といった、社会的課題の解決や国際競争力の維持にも膨大な車両データが欠かせず、有効活用に向けて各社がどこまで歩み寄れるかも焦点の一つになりそうだ。

日刊自動車新聞6月17日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
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日刊自動車新聞社まとめ

対象者 自動車業界