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2019年6月18日

国交省懇談会、自賠責特会6千億円繰り戻し「22年度までに」

国土交通省は12日、有識者を交えた自動車損害賠償保障制度に関する懇談会を都内で開き=写真、自動車安全特別会計から国の一般会計に繰り入れたままになっている自賠責保険の運用益約6千億円について、財務省に対し2022年度までに繰り戻しを求める方針を確認した。交通事故被害者を保護するための医療施設の設置など、同特会が果たす役割は大きい。19年度予算で2年連続の繰り戻しが実施されるものの、積立金の残高が減っていることから、事業を持続するためにも繰り戻し額の増額を求める。

自賠責保険の運用益を巡る問題は根深い。赤字国債の発行を抑えるために1994、95年度にわたり、同特別会計から1兆1200億円が一般会計に繰り入れられた。その後2003年度まで約7千億円が財務省から返済されたが、それから18年度再開までの期間、景気悪化や財政難などを理由に繰り戻しが滞っていた。

自動車安全特別会計は、自動車ユーザーからの賦課金や過去の再保険料の運用益などを財源とし、事故による重度後遺症障害者の救済対策や事故防止策の方策、ひき逃げ・無保険車の被害者救済などに使われる。
現在、同特会のうち、被害者保護などに使う自動車事故対策勘定の積立残高は1650億円。事故対策などの施策を実施するための19年度予算は143億円で、直近は約80億円取り崩しながら運用している。こうしたことを背景に、17年に麻生太郎財務相と石井啓一国交相間の合意に基づき、19~22年度までに繰り戻すとした。
18年度には15年ぶりの繰り戻しが決まり、23億円が返済され、19年度は1・6倍の37億円と着実に繰り戻しが進む。

一方、12日に開かれた「今後の自動車損害賠償保障制度のあり方に係る懇談会」では「約6千億円残っているのに23億円、37億円は額があまりにも小さいのではないか」「被害者救済のために今後も小規模でも病床が必要だ。繰入金が大臣間の合意に沿って実現できるようお願いしたい」といった声が挙がった。
国交省としても「まずは初めの一歩、二歩から始め、この小さい階段を確実に拡大していくために引き続き交渉する。長期にわたりこの事業を充実させながら、継続することが重要だ」(自動車局担当者)と答えた。
同懇談会には自動車ユーザーの視点に立った団体や事故被害者救済を目指す集まりなど多様な立場が交わり議論する。その中でも「被害者救済の重要性では一致している」(同)という。今後も年1回のペースで開き、他省庁からの参加も促したい考えだ。

日刊自動車新聞6月14日掲載

開催日 2019年6月12日
カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

国土交通省

対象者 一般,自動車業界