（公財）埼玉県産業振興公社では、EVシフトに対する考えや対応を県内の中小製造業者16業種1,000社に調査をしました。（有効回答数204社）。県内企業調査のほか、車両分解調査などをまとめた「埼玉県内中小企業のEVシフト対応に関する調査報告書」を4月26日からウェブサイトで公開しました。
調査結果は、当公社が運営する次世代自動車支援センター埼玉での企業支援などで活用します。

【調査結果概要】

1　県内中小製造業の対応調査

（1）EVシフトによる経営への影響予測
・現在、自動車の製造に関与している136社のうち、73社が今後売上が「減少する」、62社が「減少しない」と予測。「減少する」と予測した73社中、52社が経営に「悪影響がある」、21社が「悪影響がない」と回答した。
・経営に「悪影響がある」と回答した企業は、輸送用機械器具、金属、非鉄金属業で割合が高い。
・業績見通しについて「悪影響がある」52社のうち、26社が「回復可能」、20社が「回復は難しい」、6社が「わからない」と回答した。

（2）「回復可能」な26社の状況

・「回復可能」の回答理由として、最も多い20社が「自動車以外の他分野へ展開ができるから」を挙げ、これに「EV化の新製品・新技術開発が進んでいるから」と「EVではないが、自動車部品の新領域拡大を図ることができるから」が共に12社で続いている。
・回復可能企業が、EVシフトで伸ばしたい製品と技術は、EVの中核部品であるモータ関連部品が最も多く、バッテリーやセンサー関連部品がこれに続いている。
・自動車以外の分野への新規参入としては、11社のうち5社が「医療機器」を挙げ、最も多い。

（3）EVシフトはビジネスチャンスか

・回答企業200社中、ビジネスチャンスと「思う」「思わない」は共に81社であった。また、自動車製造への関与（136社）、非関与（68社）のいずれの企業も、EVシフトをチャンスと「思う」「思わない」の割合はほぼ半々だった。
・業種別では電気機械器具、プラスチック、非鉄金属で、ビジネスチャンスと「思う」が「思わない」を大きく上回り、エンジン部品関連など輸送用機器と金属では、「思わない」が「思う」を大きく上回る結果となった。
・EVシフトを商機と期待している企業は、電子部品や軽量素材などの分野が多く、関心を持つ製品や技術には「モータ」「センサー」「設備計測」を挙げる企業が多い。

(4)埼玉県産業振興公社に期待する支援
・EVシフトにより埼玉県産業振興公社に期待する支援は、ビジネスチャンスと「思う」「思わない」でニーズが分かれた。
・チャンスと「思う」企業では①情報提供②経営への支援③人材育成の順で多く、「思わない」企業では①経営への支援②現有技術の適用拡大支援③情報提供の順番となった。

2　EV車両分解調査（日産新型リーフ）

（1） 先代リーフより中国製部品の割合が増加
・日本メーカーの中国製が大半を占めているほか、中国メーカー製の部品がいくつか見られたことから、中国製部品の品質向上が窺える。加工に労務費がかかるハーネスやスイッチ類、また、大量生産により低コストの電子部品などが目立つ。
・一方、高い機能保証が求められるモータ、インバータ、充電器、また、輸送費のかかる樹脂製の大型部品やガラス、灯体系部品は国内製である。

（2） 中小製造業のビジネスチャンス領域
・日産リーフを参考に、EVシフトにより今後、中小製造業にとってビジネスチャンスと思われる部品をリストアップした。（9分野、約90部品）

3　その他
・本調査では、上記調査に加え、国内外の自動車産業政策やメーカーの動向、国や自治体の支援策なども調査し、EVシフトによる今後の中小製造業支援策について検討した。

【問合せ先】

埼玉県産業振興公社　新産業振興部　IOT・技術支援グループ（次世代自動車支援センター埼玉）

チーフ技術開発コーディネーター　渡部康行 　watanabe.yasuyuki@saitama-j.or.jp

主任　黒田裕一郎　kuroda.yuichiro@saitama-j.or.jp　　TEL：048-621-7051

開催日	2019年4月26日
カテゴリー	白書・意見書・刊行物
主催者	埼玉県産業振興公社
開催地	さいたま市中央区上落合2-3-2新都心ビジネス交流プラザ3階
対象者	自動車業界
リンクサイト	埼玉県内中小企業の EV シフト 対応に関する調査報告書 https://www.saitama-j.or.jp/wp-content/uploads/2019/04/jidosha_evshift.pdf

次世代自動車支援センター埼玉　https://www.saitama-j.or.jp/jidosha/