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2019年6月10日

ADAS普及でウインドリペアに新たな課題、求められる修理技術力の向上エーミング作業もセットで

衝突被害軽減ブレーキをはじめとした先進運転支援システム(ADAS)の普及にともない、ウインドリペアに新たな課題が浮上した。その一つが修理技術力の向上。ADASの作動に必要なカメラやセンサーがフロントガラスに取り付けられるケースが多く、これらの検知能力を妨げないようにリペアするスキルが求められている。

さらに、ウィンドリペア業者には、リペアとセットでADASの校正作業(エーミングなど)が求められるケースが想定されるが、その作業を行うには国土交通省が新たに定めた「特定整備」の認証取得が必須になる見通し。これらの対応が、中長期のビジネス獲得の糧になりそうだ。
ウインドリペアは、保険料率の改定でウィンド交換の費用負担が大きくなったことから需要を伸ばしてきた。

カーディティリング技術の教育事業などを手がけるカービューティープロ(小口洋史代表、東京都世田谷区)は、「交換に比べて低価格で、作業時間を短縮できることから需要は高い。ディーラーからもウインドリペア内製化に対する問い合わせがある」(古賀大介取締役)と現状を話した。特に長期間預かりの難しい大型車にとって短納期化のメリットは大きいという。
こうした中で、ADAS搭載車のリペア対応が重要課題として持ち上がった。

日本自動車ガラス販売施工事業協同組合(JAGU、佐藤光男理事長)は「センサーの近くなど修理箇所によってはリペア事業者もエーミングをする必要がある」とした。本来、エーミングはディーラーや整備工場が行うものである。ただ、人手不足で手が回らないことが考えられるため、リペア事業者にエーミング代行が要望されるようになるとみている。「他社との差別化になり、ビジネスチャンスになるのでは」とも見ている。
同時に、リペア品質の確保も課題となる。ガラスリニューアルなどを手がけるHI―LINE22(平井宏治社長、横浜市中区)では、昨年に比べてウインドリペアの依頼が2割増加した。同社の技術力を見込んで、他社ではキズの大きさなどが原因で修理を断られた車両の修理依頼が増えてきたためだ。「ウインドリペアの需要増から新規参入の業者が増え、価格で勝負せざるを得ない状況が増えた」(平井社長)とし、補修技術の向上が後回しになったいると警鐘を鳴らした。

ADAS搭載車の普及は、ウィンドリペアの技術力向上および認証取得という新たなビジネス局面をもたらした。実力のない業者は淘汰されかねない状況といえ、今後の生き残りをかけた各社の取り組みが注目される。

日刊自動車新聞6月5日掲載

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