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2019年6月8日

電動車 収益に影響 部品コスト、利益低下のリスク

電動車の販売比率の増加が自動車メーカーの収益に影響を与えている。スバルは2019年3月期決算の収益悪化要因に、マイルドハイブリッド「e-BOXER(ボクサー)」の販売が好調なことを挙げた。バッテリーなど電動車関連部品はコストが高く、ガソリン車と比べて利益率が低い状態となっているためだ。今後、世界的な環境規制で各自動車メーカーは電動車比率を高めていくが、収益とのバランスをどうとるかが課題となりそうだ。

スバルは昨年発売した新型「フォレスター」にeボクサーを設定した。「約半分の客がeボクサーを選択している」(岡田稔明取締役)と好評だが、収益面ではそれが裏目に出た。
ハイブリッド車(HV)に搭載するバッテリー、モーター、インバーターなどの電動車部品は、内燃機関の部品と比べて「原価が下がっていない」(同)ためだ。構造的に電動車は、コストが高くなりやすい。だが「コスト上昇分をそのまま車両価格に反映できるほど、電動車に対するニーズがあるか分からない」(同)。このため、eボクサーは、電動車部品の搭載によるコストをそのまま転嫁しておらず、内燃機関車と比べて利益率が低い状態で販売をしているという。

中国で一定比率の電動車を生産しなければならない新エネルギー車(NEV)規制の導入や、欧州で予定されている企業平均燃費基準(CAFE)の引き上げに備えて、各社は電動車の開発、販売を強化する方針。中長期的に電動車関連部品は、量産効果によって徐々にコストダウンが進むことが予想されるが、足元は厳しい。
この状況に対して、対策を打つ自動車メーカーもいる。トヨタ自動車は、ハイブリッド技術を長年展開しており、すでに部品コスト低減を実現してきているが、さらに電動化技術の特許を無償提供しモーターやパワーコントロールユニット(PCU)などの主要部品を外販する方針を発表した。部品を外販することで量産効果を出し、コストダウンにつなげることが狙いの一つにあるとみられる。独フォルクスワーゲングループもEV専用プラットフォームを開発し、これをグループ外にも供給することで電動車のコストを下げようとしている。

日刊自動車新聞6月5日掲載

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