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2019年5月14日

電子部品大手7社20年3月期決算 営業益4.5%増見込む

電子部品メーカー7社の2019年度業績予想が出揃った。7社合計の営業利益は18年度実績比4・5%の増加を見込むものの、米中貿易摩擦をはじめとする不透明な世界情勢を背景に予測を堅実な水準に据え置いた企業が多い。スマートフォン(スマホ)需要の回復が見込みにくい中、車載用部品事業の動向が各社の業績を左右するとみられる。

7社合計の売上高見通しは同4・9%増の8兆6385億円、営業利益は8210億円だった。18年度下期に顕在化した中国市場低迷の影響などで村田製作所とロームの2社が減益を見込む。

村田製作所は、自動車の電動化を追い風に車載用積層セラミックコンデンサー(MLCC)が成長し、カーエレクトロニクス部門は同19%増の3千億円に拡大するものの、スマホの生産調整で主力の通信用電子部品が同7%減少する見通し。MLCCの増産などに伴う減価償却費の増加が収益を圧迫する。

京セラの谷本秀夫社長も「スマホは今後も成長を見込めない」と指摘する。一方、「車載カメラなどの先進運転支援システム(ADAS)は堅調に推移する」とし、車載用で約2500億円の売り上げを計画する。5月にはADASなどのソフトウエアを開発する開発拠点を横浜市に新設し、事業拡大を図る。

ミネベアミツミは、同社として初となる売上高1兆円を超える業績予想を発表した。電動化によるモーターや小径ベアリングの需要拡大に加え、4月に買収したユーシンの売り上げが加わり、当初計画していたより1年前倒しして大台に到達する見込み。貝沼由久会長兼社長は「中国市場は夏ごろまでに回復するだろう」との見方を示した。

このほか、アルプスアルパインやTDKも車載用の拡大を背景に増収増益を見込む。スマホ回復の契機になりえる5G(次世代移動通信システム)の商用化が進み始めているものの、電子部品各社の業績に反映されるのは20年度以降になる。これまで車載事業で仕込んできた準備の差が、19年度の業績に表われそうだ。

日刊自動車新聞5月10日掲載

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