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2019年5月14日

改正車両法、衆院国交委で可決 自動運転車の安全性確保

道路運送車両法の一部を改正する法律案が8日に衆議院国土交通委員会で審議され、全会一致で可決された。今回の車両法改正案は、自動運転車の設計・製造過程から使用にわたって安全性を確保するのが目的。自動運転システムを保安基準の対象に加えるほか、無線でプログラムを更新できるよう許可制度を創設することなどが柱となる。10日の衆議院本会議通過後に参議院に送られる。政府は今国会での成立を目指す。

8日の委員会には7人の質疑者と、石井啓一国交相や政府参考人など19人が出席し、3時間以上かけて審議した。
今車両法改正案は全6項目。このうち自動運転レベル3、4の車に必要な「自動運行装置」を保安基準の対象に加える案は2020年の施行を目指す。
質疑は自動運転車の安全性確保や整備事業者への影響に関する質問が中心となった。
自動運転によって、人為的ミスを減らせる期待が高まる一方、安全性の確保が重要となる。特に焦点となるのが無線で自動運転プログラムを更新する際のサイバーセキュリティーの強化策だ。

自動運転システムのプログラムを無線で更新できるようになると、さまざまな機能を追加することが可能になる。ただ、通信を介して車が外部とつながるため、サイバー攻撃のリスクも増す。「サイバーセキュリティーの確保は重要な課題」(国交省・奥田哲也自動車局長)として、国交省は国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)傘下の自動運転分科会での議論に積極的に参画する。
同分科会では現在、自動車メーカーに対してサイバーセキュリティー対策の実施を義務付ける国際基準案の策定を進めている。基準案がWP29で成立次第、早期に国内の保安基準に取り入れる方針。

整備に関して、分解整備の範囲を先進技術にまで拡大し、分解整備の名称を「特定整備」に変更する。エーミング(機能調整)などを行うには新たな認証の取得が求められる。
質疑者からは「事業者は設備投資が必要になる。認証基準の中身はどうなるのか、経営方針を考える上で準備時間が必要との声が挙がっている」と投げかけた。

これに対し奥田局長は「自動車特定整備の認証に当たっては作業場、スキャンツール、必要な知識を持つ整備士を持つことなどを想定する」とした上で「整備事業者が十分な時間的余裕を持って認証取得の判断ができるよう具体的な要件を早期に示す」と述べ、今秋にも認証基準の内容を明らかにする方針を示した。

日刊自動車新聞5月10日掲載

開催日 2019年5月8日
カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

国土交通省

対象者 自動車業界