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2019年5月11日

VW、ライフサイクル全体のCO2排出量「内燃機関よりEVが少ない」

独フォルクスワーゲン(VW)は、ライフサイクル全体での二酸化炭素(CO2)排出量を比較した場合、内燃機関自動車よりも電気自動車(EV)のほうが排出量が少ないことを証明したと発表した。現行のディーゼル車「ゴルフTDI」ではライフサイクル全体のCO2排出量の平均値(走行1キロメートル当たり)が140グラムなのに対し、EV「e―ゴルフ」では119グラムだという。車両のライフサイクルを調査するための標準化された手順である「ライフサイクル・アセスメント(LCA)」に沿って調査した。

使用段階のCO2排出量では、ディーゼル車が111グラムなのに対し、同一モデルのEVでは62グラムとなる。使用段階のCO2排出量は、20万キロメートル以上走行する場合の排出量に加えて、燃料や電力供給のために発生する排出量も含んでいる。現在の欧州連合(EU)の電力ミックスで計算した。
EVの場合は、使用段階の電力の全てを再生可能エネルギーにできれば、2グラムにすることも可能と試算する。このためVWでは、グループ企業が再生可能なエネルギー源のみで発電した電力の供給を19年から開始している。

一方で、原材料の採取やコンポーネントの製造、車両の組み立て工程など生産段階で発生するCO2排出量は、ディーゼル車が29グラムなのに対し、同一モデルのEVは57グラムとなる。EVのほうが排出量が多くなるのは、バッテリーの製造や原材料の採取工程によるものだという。VWでは、バッテリー技術の進化とサプライチェーンの最適化によって20年発売予定のEV「ID.」では、容量1キロワット時当たりのCO2排出量を「e-ゴルフ」に比べて25%以上削減するという。

同社はEVのリサイクル段階でのCO2排出量を削減するための取り組みも進めている。独ザルツギッター工場で使用済みバッテリーから新しいバッテリーの原材料を生成するための試験用プラントを建設している。VWグループの平均的な車両のライフサイクル全体での1台当たりのCO2排出量は15年に43・6トンだった。これを25年までに30%削減する目標を掲げている。

日刊自動車新聞5月8日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

独フォルクスワーゲン

対象者 一般,自動車業界