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2019年5月5日

日刊自特集〈新時代を迎えて/注目領域の最新状況を検証〉「モデルベース開発」膨大な開発作業に不可欠

自動車の開発工数が爆発的に増えるなか、膨大な作業をこなすのに不可欠といわれるのが「モデルベース開発(MBD)」だ。先行するマツダは2010年頃からエンジン開発に採り入れ、車全体、車外環境、人間にまで広げようとしている。
同社によると、MBDとは「開発対象をモデル化して、効率的に最適化する開発手法」。ここで言うモデルとは、知りたい現象を正確に数理・数式化したものを指す。モデルを用いることで、モノを試作することなくコンピューター上でテストしたり、適合開発ができる。
00年代初頭の深刻な経営不振が、マツダをMBDの前提であるCAE(コンピューター支援設計)に駆り立てた。人見光夫シニアイノベーションフェローは「先行できたのはマツダが貧乏だから」と話す。人手不足をはじめとする課題の数々をボウリングのピンに見立て、一発で倒す「1番ピン」としてCAE強化に目をつけた。CAEで積み重なったデータをロジックで組み立てたのがモデルだ。
重要なのは「試作の前にCAEを使い徹底的に考えること」(人見氏)だという。ガソリンとディーゼルの特性を持つ新エンジンの燃焼解析には、スーパーコンピューターでも丸2日かかった。「実機による開発では、始める気にならなかっただろう」(同)。高度運転支援や自動運転では、一層膨大なシミュレーションが必要になる。車、環境、人間のモデルをつなぎ、一歩先行く開発を目指す。
経済産業省(METI)は17年に、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、マツダ、大手部品などが参画する研究会を開き、MBD普及のガイドラインをまとめた。MBDを用いた開発効率化の輪は広がりつつある。

日刊自動車新聞5月1日掲載

開催日 2019年5月1日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞社特集

対象者 自動車業界