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2019年4月30日

人手不足の実態把握急ぐ 近畿の整備業界、相次ぎアンケート調査

近畿地区で自動車整備事業者の人材不足の現状を把握する取り組みが活発化している。奈良を除く5府県の整備振興会が相次いで実施した人手不足に関するアンケート調査では外国人材に関する項目が特に目立つ。各団体は事業者の人手不足に関する正確な現状把握を急ぐとともに、外国人材に対する反応を見極め、今後の施策に活用していく構えだ。

4月から新たな在留資格「特定技能」がスタートした。国は、整備職種では今後5年間の受入れ見込み数を最大7千人とする方針を示している。既存の外国人技能実習制度とともに整備業での外国人材の活用促進に期待が高まっている。
一方、各制度や外国人材に対して正確に理解している事業者はまだ決して多くはない。全国的な傾向として人手不足の慢性化は間違いないが、地域や業態、規模によって深刻さにも温度差がある。これらの現状を踏まえ、各振興会は、まずは地域ごとの実態把握が急務と考え、人手不足に関するアンケート調査の実施に踏み切った。

大阪府自動車整備振興会(山本昇会長)と兵庫県自動車整備振興会(橋本一豊会長)は集計を終え、データをまとめている。大整振は毎年1月に実施している「大阪の自整業の労務実態」に外国人材に関する質問項目を初めて盛り込み、4月に集計結果を作成した。調査対象は整備要員が4人以上の1102社で、うち392社から有効回答を得た。
アンケート項目には「外国人材の受入れ状況」や「受入れ形態」、「受入れ希望状況」などを追加した。「外国人材に求めるもの」では「日本語力」が最多を占めた。「受入れにあたっての課題」でも「日本語力の理解」が最も高く、言語の壁がはっきりと表れた。

■様子見の事業者7割
兵整振は2月に「人手不足への対応に関するアンケート」を実施し、4月初旬には理事会で報告した。調査対象は800工場で、262件の回答を得た。
アンケートでは整備要員の不足状況や理由などを聞いた。「整備要員が不足している」と回答した工場は全体では6割に達した。一方、指定と認証を分けると、指定は7割近くが「不足している」と答えたのに対し、認証は「不足していない」が過半数を超える結果となった。
外国人材についても複数の質問項目を設定した。「外国人材を検討しているか」では、「考えていない」「将来的には必要になるかもしれないが現時点では予定の域を出ない」の2回答が7割を占め、様子見の事業者がいまだ多いことが明らかになった。

和歌山県自動車整備振興会(磯部宏会長)は3月に全会員事業者へ「平成31年度人材不足等への対応に関する実態調査表」を送付した。人材不足に対するアンケート調査は約3年ぶりだが、外国人材に関する項目を盛り込んだのは初めてという。4月中をめどにアンケート結果をまとめ、委員会や会報誌での報告を計画する。

京都府自動車整備振興会(中村斉会長)も今月、人手不足などへの対応に関するアンケートを全会員事業者に送った。会員の外国人材に対する意識や思いを調べることが目的の一つという。6月中旬の京整振の総会後、できるだけ早い時期にデータをまとめる考えだ。

滋賀県自動車整備振興会(竹内貢会長)も4月中旬に同様のアンケートを全会員事業者に送付した。人手不足に関する実態調査は滋整振としては初めてという。滋整振は京整振とともに「カンボジアでの整備人材送り出し事業」を進めている。両団体は今回のアンケート結果を同事業の展開にも活用していく構えだ。

日刊自動車新聞4月25日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

近畿の自動車整備振興会

開催地 大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、和歌山県、
対象者 自動車業界