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自動車産業インフォメーション

2019年4月20日

自動運転コンテスト 規模拡大、IT人材確保を後押し 経産省、講座や教材開発も

経済産業省は、自動車業界で不足するIT人材の確保や育成に関する戦略をまとめた。同省によると自動車メーカーの中には、2020~23年ごろに知能系や情報系などの人材が約1千人不足すると予想する企業もあるという。自動運転などの開発に必要なAI(人工知能)人材を他業界や海外から引きつけるために、日本開催の自動運転コンテストの規模拡大を目指す。また、自動走行に必要な認識などに関する講座や教材を開発し、人材育成に生かす。

経産省と国土交通省は15年に、日本の自動走行分野の競争力強化に向けて「自動走行ビジネス検討会」を設置。自動車メーカーやサプライヤーなども参画している。18年度には検討会の下に人材戦略ワーキンググループを立ち上げて、ソフトウエア人材の確保・育成・発掘に関する戦略を練ってきた。

AI人材の不足に対しては情報系や理学系学生の確保と他業界からの引き込み、海外人材の採用が重要と指摘。そのきっかけづくりとして自動車技術会が19年3月に初めて開いた「自動運転AIチャレンジ」を活用する。
同チャレンジは、実車を使って自動走行時の認識アルゴリズムの精度などを競う大会で、自動運転のソフトウエアを競うコンテスト形式の大会は自技会としては初めて。対象年齢は限定せず「学生の育成や社会人も自動車業界に目を向けてもらいたい」(自技会)というのが開催の狙い。
大会にはコンピューターサイエンスなどを専攻する学生や社会人など計4チームで競い、中国からの参加もあった。「AIを駆使してものを動かす楽しさを伝える機会となっている」(同)という。今後も定期開催するほか、大会の公用語を英語にするなど国際化を進め、自動車業界の魅力を幅広く伝える場とする。

育成面では、大学講座や教材開発を進める。重点テーマとして自動運転に必要な認識を定め、カメラやレーダーなどのセンサーから得た情報をAIで処理するために必要なスキル取得につなげる。
企業でも競争力の源泉となる人材の採用を積極化する動きが目立つ。デンソーは「自動運転や電動化、コネクテッドの領域で今後も採用を強化していく」とし、新たに開設した「グローバルR&D東京」などを活用して関東圏の優秀な人材を確保する方針。

日刊自動車新聞4月17日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

経済産業省

対象者 大学・専門学校,自動車業界