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2019年4月19日

JAIA輸入二輪車試乗会 鍵を握るブランド力

タイ、インド、ベトナム、そして中国。量販モデルを中心にアジアでの現地生産化が進む輸入二輪車メーカー。生産国で見れば国内二輪車メーカーと大きな違いはないといえる。アパレルや家電製品と同様に、二輪車も今やグローバル生産が当たり前となった。消費者に生産地へのこだわりはない。変わってカギを握るのはブランド力だ。

◆アジア生産モデル目立つ
今回で5回目を迎えた日本自動車輸入組合(JAIA)の輸入二輪車試乗会。会場はかつてに比べアジアで生産するモデルが目立った。四輪車ユーザーと同様にメイド・イン・ジャパン、メイド・イン・ジャーマニーのように生産地にこだわっていた国内の二輪車ユーザーだが、インポーターによると「今やそんな抵抗感はない」とする。カギを握るのはブランドだ。商品のブランド力だけでなく、接客対応やアフターサービスを加味したディーラーネットワークが消費者の信頼を支えている。
もちろん、価格競争力もある。台湾のメーカーであるキムコは125ccで14万円台のスクーターを国内市場に投入した。国産では50ccクラスと並ぶ価格帯で、好調な売れ行きという。価格だけではなくスマートフォンには欠かせないUSB電源も備えるなど商品力も魅力だ。ヒットモデルの登場で、新規ディーラーの拡大にも効果を発揮している。
国内の二輪車市場は、欧米市場と同様にあらゆる場所での長距離ツーリングを楽しむアドベンチャータイプや、サーキットの走行も可能なスーパースポーツタイプ、60~70年代のオフロード車のイメージを持つスクランブラータイプなど嗜好が細分化している。四輪車のカテゴリーであえて見れば、アドベンチャータイプがSUV、スーパースポーツがスポーツカー、スクランブラーはライトSUVといった位置付けか。

◆ラインアップ拡充にしのぎ
欧米の二輪車メーカーでは、カテゴリー別に得意分野を持つとともに、アジアでの生産能力を生かしあらゆる顧客ニーズに対応するべくラインアップの拡充にしのぎを削っている。国内二輪車市場でシェアトップのハーレーダビッドソンも、アドベンチャータイプやEVなど今までにないタイプの市場投入を目指しており、競争はますます激化しそうだ。
独アウディ傘下となった伊ドゥカティは両社のエンジニアの交流が進み、新たなプロダクトの誕生に役立っているという。かつて国内二輪車メーカーの目標だった英トライアンフは見事に復活し、世界、そして国内でシェアを上げている。JAIAの試乗会は、様変わりした世界の二輪車の神髄を確かめるとともに、グローバル化の実態を目の当たりとする場ともなっている。

日刊自動車新聞4月16日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日本自動車輸入組合

対象者 大学・専門学校,一般,自動車業界