自動車産業インフォメーション

スキャンツールメーカー各社対応本格化 OBD車検24年にスタート

2019年4月16日

進展する車両技術と2024年(輸入車は25年)に始まる車載式故障診断装置(OBD)車検をにらみ、外部故障診断機(スキャンツール)メーカーが対応を本格化させている。ツールプラネットやスナップオン・ツールズはOBD車検を視野に入れた機器を開発し、GMOクラウドでは遠隔診断も可能なスキャンツールを展開する。主に輸入車整備に必要なコーディング対応を進める機器も増え、先進安全技術のエーミング(機能調整)、キャリブレーション(初期化)対応も含め「もはやスキャンツールは(整備事業者にとって)認証設備機器となってもおかしくない必須の機器」(車体整備業界団体幹部)となっている。すでにスキャンツールを持たないとバッテリー交換すらできない時代。スキャンツールを有効活用できるかが整備事業者の生き残りを左右する。

ツールプラネット(浅野一信社長、岐阜県岐阜市)は簡易型スキャンツール「N―パーソナル・ナノワン」を5月をめどに発売する。ダイアグチェックだけに特化し、OBDに本体を装着することでレディネステストと全自己診断できるのが特徴だ。

簡易型ながら国産乗用車メーカー全8社のモデルに対応し、本体は小型、軽量化してOBD車検を見据える。また、若手整備士が本格的なスキャンツールを活用する前の準備段階として「1人が1台を持つイメージで開発した」(浅野社長)という。診断結果は、専用アプリをダウンロードしたスマートフォン(スマホ)やタブレット端末で確認できる。既存商品では「TPM―R」の人気が高いという。

スナップオン・ツールズ(マクウィニー・ブレント・ダヴリュ社長、東京都江東区)もOBD車検を見据えて商品開発する。「TPM―X―STD」は液晶画面を搭載しておらず、Wi―Fiを使ってスマホで操作する仕様。「OBD車検ではこのような手法が主流になるのでは」(並木健彦ダイアグノスティック部マネージャー)と法定スキャンツールとしての活用を想定する。

自動車業界向けIoT(モノのインターネット)サービス「リンクドライブ」を手がけるGMOクラウドは、クラウド型スキャンツール「リンクピット」を提供しており、整備事業者による顧客の囲い込みを支援する。リンクピットは市販のタブレットに専用アプリをインストールするだけ。国内外約4千車種に対応している。
整備事業者はOBDに装着する車載コネクターを通じてユーザーとリアルタイムにつながり、オイルやバッテリーなどの消耗度合い、故障コードを遠隔診断できる。コネクテッドカー時代に対応した新しいスキャンツールの活用法を提案している。
コーディングやアダプテーションなど、主に欧州車を中心にカスタマイズ手法の一つとして認知されている作業への対応も進む。ポジションランプ(車幅灯)のデイライト化や、ヘッドライト調整などの作業でスキャンツールは欠かせなくなっている。

輸入車を取り扱う整備工場を中心に、コーディング対応機器の人気は高く、「MaxiSys」シリーズを展開するAUTELの輸入販売元G―STYLEは「今後もニーズは増えるだろう」と読む。
一方、OBD車検に用いる法定スキャンツールを巡っては、既存機器のアップデートで対応するのか、検査対応機器を新たに開発するのか、スキャンツールメーカー各社の方向性は定まっていないのが現状だ。整備事業者にとってはスキャンツールを使わないと車検作業ができなくなる可能性もある。スキャンツールを持っているのに使っていない、活用できていないといった「宝の持ち腐れ」の整備事業者は事業を存続する上でのリスクになる可能性もある。

日刊自動車新聞4月12日掲載

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