会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2019年4月9日

改正入管法施行 外国人材受け入れ本格スタート 整備業界まだ課題山積

特定技能1号は整備士不足解消の一手となるか―。4月1日付で改正出入国管理法が施行されたことで「特定技能1号・2号」での外国人人材の受け入れが本格的に始まった。「特定技能1号」の対象である自動車整備業では、評価試験の実施から来日後の生活サポートまで、課題が山積しているだけに、受け入れ体制の構築に向けて頭を悩ますことになりそうだ。

改正入管法の施行に伴って「技能実習生」などの外国人の出入国管理を担っていた入国管理局が廃止され、新たに法務省に設けられた「出入国在留管理庁」がその役割を担う。「特定技能1号」は即戦力となる人材を受け入れることが前提で、建設業や介護、宿泊業など全14業種が対象となっており、自動車整備業もこれに含まれる。「特定技能2号」に該当するのは建設業と造船・舶用工業の2業種のみだが、在留期間や家族が帯同できるなど、条件が異なることから、ここ数年間は認めないとしている。

特定技能1号で受け入れる自動車整備士については、「自動車整備特定技能評価試験」に合格する必要があり、試験レベルは3級整備士と同等程度。新試験については日本自動車整備振興会連合会(日整連、竹林武一会長)が主体となって今年度中に第1回を国外で実施しなければならないが「現時点で、試験日程や場所について未定」(担当者)という。木場宣行専務理事は「現地で誰が対応するのかなど、早急に対応しなければならない」と、対応を急ぐ構え。
将来的には、在留資格を「技能実習」から「特定技能1号」に切り替える際の試験対応も必要となる。各都道府県にある自動車整備振興会は年々増加傾向にある技能実習生向けの試験に加え、今後は外国人整備士が来日した後の技術面、生活面でのサポートを求められる。

外国人整備士は整備業界の慢性的な人手不足問題の解決に向けて前進することが見込まれる半面、付随して必要となる負担も懸念されている。
国土交通省は今後、業界団体など関係者らで構成する「自動車整備分野特定技能協議会(仮称)」を通じて、特定技能1号で来日した外国人整備士の状況や、就職先の整備工場が倒産した場合の転職・帰国支援などで協力していく。
2016年4月に外国人技能実習制度に自動車整備業が追加されてから3年が経過した。厚生労働省によると、現在、整備に従事する外国人労働者数は1849人で、事業場数が699となっている。
政府は特定技能1号で受け入れ見込み人数を今後5年で7千人と設定しており、加速的に外国人整備士が増加するのは確実。「特定技能1号」という新たな即戦力を十分に活用していくためにも、業界全体の土台づくりが急がれる。

日刊自動車新聞4月5日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞社まとめ

対象者 自動車業界