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2019年4月5日

減少する整備学校卒業生 ディーラー、専業とも採用難 留学生に大きな期待

2018年度に自動車メーカー系自動車大学校・整備専門学校を卒業した学生数は2180人で、前年度実績と比べて231人減となったことが明らかになった。このうち海外からの留学生は前年度比36人増の97人と大幅に増加した。少子化の影響もあって日本人の学生数が減少する中、留学生の存在感が高まっている。一方、採用難が続いていた整備専業者に加え、一部地域ではディーラーでも整備士の採用が難しくなっている。今後どのように整備士を確保をしていくのかが、整備業界の大きな課題となっている。

自動車メーカー系列校であるトヨタ系自動車大学校(東京・名古屋・神戸)、日産自動車大学校(栃木・横浜・愛知・京都・愛媛)、ホンダテクニカルカレッジ(関東・関西)の18年度(19年3月)の卒業生数は合計2180人だった。17年度の2411人と比べて約1割減となる231人も減った。

このうち、海外からの留学生数は計97人で、前年度比36人増と大幅に増加した。留学生の全体に占める割合は4%程度にとどまるものの、ここ数年、増加傾向が続いている。17、18年度とも卒業した留学生がゼロだった日産栃木自動車大学校、日産愛媛自動車大学校でも19年度はそれぞれ25人、14人の留学生を迎え入れる予定で、今後も整備士を志す留学生数は増加の一途を辿るとみられている。
また、女子学生の卒業生数は計78人で、17年度の85人と比べて7人減となった。ただ、トヨタ神戸自動車大学校が19年度に女子学生対象の「ショールームスタッフ科」を新設するなど、自動車業界を志望する女子学生を確保するため、女子学生向けの学科や設備を充実する動きもある。

学生を採用する企業側も学生数の減少を懸念している。卒業生が年々減っていく傾向は、自動車メーカー系列以外の自動車大学校・整備専門学校でも同様だが、就職状況については「これまで引き合いがなかった他県から(採用の)申し込みが来る」(関東圏の整備専門学校)など、学生にとっては売り手市場となっている。このため、特に地方のディーラーで新卒採用が困難な状況にある。
こうしたことから三菱自動車は社内に採用の専任チームを置き、地方の整備系学校を訪問するなど、系列販売会社と一体となって採用活動を展開している。「もともとは採用後の教育を担うチームだった」(同社担当者)が、地方の系列ディーラーなどから販売会社単体で採用活動するのは限界との声が上がり、系列販売会社の採用活動を支援する体制を敷いた。

全産業的に人手不足が深刻化しているが「経営課題はまず人材確保」(同)と考えるディーラーや整備専業者も多く、専業に加えてディーラーでも整備士採用が年々厳しさが増している自動車整備業界では特に危機感が強まっている。

日刊自動車新聞4月3日掲載

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