自動車産業インフォメーション

モネ・テクノロジーズ、豊田市と次世代公共交通を実証 100自治体へ順次拡大

2019年3月22日

トヨタ自動車とソフトバンクが出資するモネ・テクノロジーズが愛知県豊田市と次世代公共交通の実証を始めた。宮川潤一社長兼CEOは「自動運転車の最適化のためには、道路や利用者ニーズなどあらゆる基礎データを集める必要がある。今は既存車でできる範囲で(データを)積み上げるべき時期だ」と話す。モネは豊田市を皮切りに今後3年間で同じような試みを100自治体に広げる考えだ。

◆オンデマンドバスにモネのシステムを導入
「トヨタ自動車のお膝元で第1号ができることに感謝する。ここからまずスタートし、豊田市全体や全国に横展開ができるようなビジネスモデルを一つずつ検証していきたい」。6日、豊田市役所で開いた業務連携協定の締結式で、宮川社長はこう語った。
トヨタ本社や七つの工場を抱え「クルマのまち」として知られる豊田市だが、実は愛知県の2割を占める広大な面積を持ち、その7割が森林だ。特に中山間地域では過疎化や高齢化が進み、太田稔彦市長は「特に高齢者の移動手段の確保が喫緊の課題だ」と話す。このため、民営バス路線を再編した「とよたおいでんバス」や電話予約式のデマンドバスなど、さまざまなコミュニティーバスを市内で走らせる。
モネと組むのは、豊田市北部の小原地域で2009年から運行するオンデマンド方式の「おばら桜バス」。バスと言っても車両はトヨタ「プリウスα」2台を使う。小原地域内に165カ所のバス停を設け、予約制で午前6時から午後7時まで運行する。料金は1回200円だ。実証では、利用者用アプリを含むモネのシステムを導入し、予約の利便性を高めたり、運行管理を効率化したりする。運行を請け負う豊栄交通の横田太常務は「モネの取り組みの中で、デマンドみたいなところが一番、ニーズが高い。ある程度のビジネスモデルができていけば」と期待する。モネと豊田市は3年間、実証やサービスの高度化で協力し合う。

◆将来は移動中の車内で新サービスも
過疎地で公共交通事業の採算を確保するのは至難のわざだ。国土交通省によると、全国に245ある一般乗合バス事業者(保有30台以上)の7割が赤字。おばら桜バスも約1900万円の年間運行経費に対し、運賃収入はわずか90万円ほどに過ぎない。太田市長は「理想は独立採算だが、ある程度の税金投入はやむを得ない。この手の取り組みで将来に向け、試行錯誤を重ねていくしかない」と話す。
ただ、採算改善の可能性はある。宮川社長は「まず、ニーズのあるモビリティから始めるが、長距離移動のなかでやってみたいことや、提供してみたいサービサーの人たちが出てくれば」とし、病院に行く車内であらかじめ血圧測定を済ませるなど、移動目的に応じたサービスの可能性を示唆する。輸送需要にキメ細かく応じたり、渋滞や災害時の迂回など、モビリティ(移動性)そのものも人工知能(AI)などの活用で高まっていく。自治体の都市計画と組み合わせて費用対効果をさらに高める手もある。

実は、おばら桜バスの利用者は17年度に5274人と前年度より7%減った。太田市長は「利用ニーズが減っているのか、そのあたりは微妙だ」と前置きしつつも「いかに外出してもらうかが高齢化社会で重要になる」と強調する。持続可能な高齢者のモビリティをいかに確保するかは、生きがいづくりや社会保障費の抑制などにもつながる喫緊の課題と言えそうだ。

日刊自動車新聞3月19日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

モネ・テクノロジーズ㈱

開催地 豊田市
対象者 自動車業界
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