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自動車産業インフォメーション

2019年3月21日

住友ゴム 天然ゴムの結晶化挙動を解明

住友ゴムは12日、世界で初めて天然ゴムの亀裂先端の結晶化の協働を解析したと発表した。1月に発表した合成ゴムに関する「ポイド」(空隙)の発生から亀裂開始までのメカニズム解明に続く研究成果で、同社ではこれらの技術を活用して「より性能が持続する」高性能タイヤの開発につなげていくとしている。

伸長と弛緩時の結晶化度にズレ

この研究成果は、5日~7日にドイツ・ハノーバーで開かれた「Tire Technology Expo2019」で発表された。天然ゴムは、伸ばすと結晶化することが知られており、この結晶化部分は剛性が高くなる。この結晶化が天然ゴムの亀裂成長や破談に強く影響すると現在は考えられているが、その解明はできていなかった。

今回の実験では、接地中のタイヤは内部でひずみ、変形を繰り返していることから、張力が加わっている天然ゴムの亀裂先端の変形模様を新たに観察した。その方法は、伸長方向に対して十分に広い天然ゴムの平面試験片を用いて、その亀裂(シート状のものにハサミで切れ目を入れた時の”つけ根”部分のイメージ)を伸縮させて亀裂先端部分をX線でゴム内部の結晶化挙動を観察した。これまでは天然ゴムの短冊試験片を伸長した場合、天然ゴム分子のほとんどが伸長方向に揃い結晶化が発生することは知られていたが、天然ゴム平面試験片の亀裂先端の場合は、分子の並びが短冊ほど揃わず、結晶がランダムに様々な方向を向いていることが今回初めて解明された。

また、伸長時に生じた結晶は弛緩して元に戻ると融解する(結晶がなくなる)が、伸長時に結晶化する度合と、融解していく度合いにはズレがある(融解時に結晶化度が高い)ことも分かった。同社では、17年に、新世代モビリティ社会に相応しいタイヤ開発を目指す「スマート・タイヤ・コンセプト」を発表したが、今回の天然ゴムの亀裂先端における結晶化の研究成果から、結晶の並び方を制御することで破壊されにくく、高い耐摩耗性能を持ったゴムの開発をさらに推進し、性能持続技術の進化を目指していく方針。

タイヤ新報3月18日掲載

開催日 2019年3月12日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

住友ゴム工業㈱

対象者 一般,自動車業界
リンクサイト

住友ゴムニュースリリース 天然ゴムの破壊メカニズムに関する研究成果を発表

http://www.srigroup.co.jp/newsrelease/2019/sri/2019_024.html