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2019年3月21日

国交省 物流シンポジウム開催 “強い物流”に向けて

国土交通省はこのほど、「“強い物流”実現に向けたハード・ソフトの標準化~関係者の連携・協働による物流の生産性向上に資するシンポジウム」を都内で開催した。会場には約300人が集まり、強い物流とは何か、関係者の連携や協働に向けてどう取り組めば良いかなどを解説した。荷主や物流事業者間におけるデータ・システムやパレットの仕様など、標準化で物流の効率化をどう実践していくか具体例なども紹介された。

流通経済大学の矢野裕児教授は「企業連携による生産性向上に向けた取組」をテーマに講演した。物流業界が直面する課題については「人手不足だから改革が必要という議論だけで良いのか」と会場に疑問を投げかけ、背景にはサプライチェーン全体が抱える不効率性などが物流に負担を押し付けている状態にあると指摘。このため物流やサプライチェーン全体を見直す改革が必要で、改革には「企業や取引先をまたいだ情報共有による全体最適化が不可欠」と唱えた。
具体的な進め方についても積載方法の見直しやエコドライブといった単純な各種施策から、生産・営業・販売・調達部門を含めた企業全体の見直し、物流共同化など企業間連携へと段階を上げていくことを示唆した。
ただ、今後の物流展開と標準化、電子化については「IoT(モノのインターネット)を導入しても前提となる標準化ができていなければ失敗する」と警告。伝票やパレット、バーコード、賞味期限などの表示を統一、デザインする物流を意識した商品「デザイン・フォー・ロジスティクス」などに加え、物流視点でサプライチェーン全体の標準化が必要と指摘した。情報の電子化が進むことで「定量的な現状の把握や分析ができ、効率化が大きく進展する」と期待を示した。

具体的な取り組みは企業が発表した。プラネットは「EDIシステムによる流通取引情報の標準化」を紹介。化粧品・日用品メーカー8社と通信会社インテックが立ち上げた会社で、商取引に必要な情報を標準化し、共有するプラットフォームのEDIを構築し、メーカー683社、卸売業477社が利用している。
発注書や納品伝票などのペーパーレス化、仕上げ入力や売り上げ入力などの入力作業の削減、入力ミス・漏れの防止、IT利用による自動化とスピードアップなど、業界標準に対応したシステムを一つ用意したことで、さまざまな効率化が実現できたとする。
CGCの名称でプライベートブランドを運営するシジシージャパンは物品の輸送に利用するダンボールのモジュール化に取り組んだ。パレットサイズに合わせて商品ダンボールのサイズを決定し、特殊な積み方を行うことで保管スペースやコンテナ内の無駄な空間をなくした。配送効率(積載率)・保管効率の向上、二酸化炭素の排出削減などにもつなげたという。

日刊自動車新聞3月18日掲載

カテゴリー 展示会・講演会
主催者

国土交通省

開催地 都内
対象者 自動車業界