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自動車産業インフォメーション

2019年3月21日

国交省、「特定整備」の不安解消 事業継続の選択肢用意

特定整備に対応できなかったら廃業しなければならないのか―。国土交通省が進める自動車整備工場の新たな認証基準「特定整備」を巡り、将来の事業継続を不安視する声が出始めている。

今後、先進安全技術のエーミング(機能調整)などを行うには、新たに認証を取得する必要があることから、冒頭のような混乱が生じている状況だ。ただ、国交省は新制度の施行から4年の経過措置を設けており、「制度が変わったことで、今のビジネスができなくなるようなことはしない」(整備課)と話す。

さらに「自動車特定整備事業」における工場認証基準には(1)分解整備に特化(2)エーミングなどを行う(3)その両方を兼ね備える─以上の3種類を設定する方向で検討している。「既存の整備事業者がきちんと事業を継続できる選択肢を提供する」(同)という考えだ。

分解整備の範囲を先進安全技術にまで拡大し、分解整備の名称を特定整備に変更することなどを盛り込んだ道路運送車両法改正案が8日に閣議決定され国会に送られた。今後、審議を経て公布、施行されるが、詳細を定める省令策定も進むことになる。
そもそも特定整備は認証工場の基準。法施行後は自動車分解整備事業の認証が、自動車特定整備事業の認証に変わる。現在、国交省は3パターンの認証を想定している。今後、自動車整備技術の高度化検討会で決めていくことになるが、既存の整備工場が該当する「分解整備」(パターン(1))、エーミングなどを行う「特定整備(仮称)」(パターン(2))、その両方を行うための認証(パターン(3))の3種類を検討している。

とくに注目されているパターン(2)については、認証工場の基準ではあるものの、整備課は「既存の設備、面積基準ではなく新たな基準を設けることになるだろう」と話す。面積基準にしても「エーミングはオイル交換とは異なり多くの作業件数が発生するわけではない。作業のために土地を買って下さいというのは非現実的」と見ているためだ。
また、「地域の事業者が共用、共同使用できるようなことも考えなければならない。フレキシビリティーさを持たせる」ことも視野に入れている。
その基準内容については、高度化検討会で議論されることになるが、まずは、エーミングやキャリブレーションが該当すると見られる「特定整備の対象」を今秋までに整理する。その後、対象作業を実施するために、どのような要件を課す必要があるのかなど、認証基準の詳細を詰めていく計画だ。
ただ法施行後、整備事業者はエーミングを行うために特定整備認証をすぐに取得しなければならないわけではない。経過措置を設けているためで、「施行日から4年間は特定整備認証を取らなくても作業が行えるようにしている」(整備課)。
それでも、認証自体はすぐに取得できるようになる。国は特定整備に対応した事業者だと周知、啓発を行う予定にしており、早期の認証取得がユーザーへのアピールにつながる可能性もある。
特定整備認証については標識でも差別化する方向で検討している。現在、分解整備事業の色は黄色だが、特定整備については別の色を設定するという。

日刊自動車新聞3月18日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

国土交通省

対象者 自動車業界