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2019年3月16日

FCで走る月面探査車 トヨタ、JAXAと協業検討

トヨタ自動車は12日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協業の可能性を検討することで合意したと発表した。まず、燃料電池(FC)で走る月面探査車を3年かけて試作する。JAXAは2029年のロケット打ち上げを目指す。同日、都内で開かれた国際宇宙探査シンポジウムに出席したトヨタの寺師茂樹副社長は、月に水資源がある可能性に触れ「月面で水素社会を地球より早く作ることができれば良い」と語った。

トヨタとJAXAは、昨年5月から「有人予圧ローバ」と呼ぶ月面探査車の概念検討を共同で進めてきた。月面での航続距離1万キロメートル以上の性能を持つ燃料電池車(FCV)で2~4人が乗車できる。シンポジウムで寺師副社長は開発のポイントとして(1)FC技術の高度化(2)月面の走破性(3)自律的な自動運転技術―の3つを挙げ「着実に検討を進めたい」と語った。
今後はまず、4月までに技術的な課題を整理し、部分的な開発車を製作して性能検証などを行う。その後、国の予算措置などを踏まえ、早ければ3年後に試作車を地上で走らせ、国際宇宙探査ミッションへの提案を目指す。同ミッションは、JAXAを含め主要国の関係機関が参画する国際宇宙探査協働グループ(ISECG)が進める月や火星への有人宇宙探査プロジェクトだ。
シンポジウム後、報道陣の取材に応じた寺師副社長は「月面で自分たちが作ったローバが走るのはエンジニアの夢だ。我々が持っている技術を磨き上げれば実現すると考えるだけでワクワクする。車にもどんどんフィードバックしてサステナブルな開発をしていきたい」と語った。

◆「空気をきれいにする機能を」次期FCV
トヨタ自動車の寺師茂樹副社長は、FCV(燃料電池車)の次期モデルについて「窒素酸化物や硫黄酸化物を吸引できる車にしたい」と述べた。
現行の「MIRAI」でもFCスタック用のエアフィルターで空気を浄化するため「PM2・5」と呼ばれる細かい浮遊粒子状物質が大きく減るという。寺師副社長は「FCVは『車が空気を綺麗にする』という機能を追加できる。言葉が適当かどうかはわからないが、大気汚染物質についてFCVは“マイナスエミッション”になる」と語った。

日刊自動車新聞3月13日掲載

開催日 2019年3月12日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

トヨタ自動車㈱

対象者 キッズ・小学生,中高生,大学・専門学校,一般,自動車業界
リンクサイト

トヨタ自動車ニュースリリース

https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/26986678.html?padid=ag478_from_kv