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自動車産業インフォメーション

2019年3月11日

21年CO2規制が引き金 欧州、電動車続々市場へ

自動車メーカー各社が欧州での電動車の販売拡大を急いでいる。独フォルクスワーゲン(VW)は電気自動車(EV)専用プラットフォーム「MEB」を中心に、グループ各社がEVの商品ラインアップを一気に拡大する。ホンダは2025年までに欧州で販売する全ての四輪車を電動車両へ置き換えることを発表した。欧州で強化される環境規制を見据えた取り組みが加速する。

5日からプレスデーが開幕した「ジュネーブ国際自動車ショー」で各社が電動車戦略を相次いで打ち出した。VWグループ各社はMEBを採用したEVを発表した。アウディはMEBベースのコンパクトSUV「Q4 e―tronコンセプト」を世界初公開した。Q4 e─tronは2020年に生産を始める。航続距離は450キロメートル(WLTPモード)。19年発売のEV「e─tron」と合わせてSUVでの電動車ラインアップを広げる。
同じくVWグループのセアトもMEBを採用した初のEVを世界初公開した。VWのヘルベルト・ディースCEOはグループがEVラインアップを急拡大させている背景について、21年の規制強化を挙げる。欧州連合では自動車メーカーが販売する乗用車の1キロメートル当たりの平均CO2排出量を現行の130グラムから21年に95グラム以下にすることが義務付けられる。30年にはさらに規制が強化される見通しでEVの販売比率を「40~50%にしないと間に合わない」(ディースCEO)とみている。
MEBの活用によってVWグループは25年までにEVを50車種に拡大するほか、MEBをグループ外にも拡販してコストを下げる。
ホンダも欧州市場で電動車の販売比率をさらに高める。25年には欧州で販売する全ての四輪車をハイブリッド車(HV)、EVなどの電動車両に全て置き換える目標を発表した。これまで公表していた25年に同地域での電動車販売を3分の2にするという目標から、前倒しとなる。商品ラインアップはeコンセプトのほか、2モーターハイブリッドシステム「スポーツハイブリッドi―MMD」を軸に広げる。
各社によるEVの発表が続く一方、日産は独自のハイブリッド技術「eパワー」を採用したコンセプトカーを公開。EV「リーフ」だけではなく、eパワー搭載車と合わせて22年までに電動車両の販売を現状比約5倍にする考えを示した。三菱自動車は、PHEVのコンセプトカー「エンゲルベルク ツアラー」を発表。「Cセグメント以上の車両でEVのみで走行距離を確保しようと思うと、バッテリーを相当量積む必要があり価格が高くなる」(担当者)とし、得意のクロスオーバーSUVでは引き続きPHEVが中心になるとみている。

日刊自動車新聞3月7日掲載

開催日 2019年3月5日
カテゴリー 展示会・講演会
主催者

日刊自動車新聞社まとめ

開催地 ジュネーブ(スイス)
対象者 自動車業界