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2019年3月10日

国交省まとめ 街で自動運転普及したら渋滞拡大の懸念も 運転者不足は解消されるが

国土交通省は、自動運転レベル4の車が街乗りで普及した際、都市交通や各施設に与える影響をまとめた。

公共交通の一つとして自動運転車が導入されれば、ドライバー不足の解消や多くの人に交通手段を提供できるといったプラス効果が得られる半面、個人利用が増えれば渋滞の発生を招く問題もある。鉄道やバスの利用を促して、過度な個人の自動運転車利用を防ぐ方法を今後検討する。将来的な駐車場や駅前広場の役割変化を見据え、駐車場の設置制度を見直す必要性も指摘した。

国交省は自動運転技術の進展に合わせた街づくりなどを考える「都市交通における自動運転技術の活用方策に関する検討会」を2017年に立ち上げ、議論を進めてきた。今月4日に開いた会合では、自動運転車が都市交通・施設に与える影響をまとめた。
自動運転車を公共交通に取り入れれば、運転手不足の解消や高齢者など交通弱者の足となり、外出する機会を増やせる。高度な車両制御技術で車間距離を縮め、効率的な道路空間の利用も可能になる。

一方、ネガティブな影響として、無秩序に個人の自動運転車利用が増えれば交通渋滞を引き起こす懸念もある。検討会の議論でも、一人の時間が過ごせる自動運転車と乗車率100%超の満員電車を比べ「自動運転車のシェアリング料金を高くしないと鉄道から自動車に流れてしまうのでは」という声もあった。
こうした影響への対策として、公共交通を軸にした最適な移動手段が提供できるような都市交通マネージメントを行う。

具体策として、料金面で鉄道やバスといった手段に優位性を持たせるなどの案を含めて検討する。
また、自動運転車が街中で普及すれば、駅前広場や駐車場などの交通施設のあり方も変わる可能性がある。例えば、自動運転技術を使ったシェアリングサービスが出てくれば駐車需要が減る代わりに、乗り降りの場所としてのニーズが出てくる。用途変化を見据え、一定規模以上の建物を新築するときに駐車施設の設置を義務付ける制度の見直しも視野に入れる。

日刊自動車新聞3月6日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

国土交通省

対象者 自動車業界