会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2019年3月5日

経産省、全固体電池の開発加速 30年の本格普及目指して

経済産業省は、電解質に固体を使う次世代電池「全固体電池」の開発を加速する。エネルギー密度や出力密度が向上し、電気自動車(EV)の航続距離延長や充電時間短縮を実現できる全固体電池については、2030年頃の本格普及を目指して産学での研究開発が続いている。経産省は自動車メーカーや電池メーカーなどで組織する技術研究組合の活動を予算面で支援する。19年度は試作品の製作などの基礎研究や評価方法の確立などに力点を置く考えで、量産化に向けた道筋をつける。
全固体電池は、電解質部分に液体を用いずに固体化したもの。現在の高性能電池で主流となっているリチウムイオン電池(LIB)よりも構造が簡単で、液漏れの心配もなく安全性が高まる。また、エネルギー密度が高く、充電時間を短縮できるメリットもある。
経産省では、30年頃の普及期までに、量産時のパック価格を現在のLIBと比べて3分の1、体積エネルギー密度を3倍、充電時間を3分の1にするための技術を確立するとの目標を掲げている。このため、18年度には全固体電池の開発事業に16億円の予算を計上。さらに19年度予算案では18億8千万円に増額した。
すでに、20年代の前半の実用化を目指すトヨタ自動車のほか日産やホンダなど自動車メーカー、パナソニックやGSユアサ、日立オートモティブシステムズなどの電池メーカー、材料メーカーなど26法人は技術研究組合「リチウムイオン電池材料評価センター(略称LIBTEC)」を結成し、材料から設計、製造、試作評価の各段階での基礎研究を展開している。

経産省は今後、先端の知見を持つ大学や研究機関と同組合との連携を深める。これにより、まずは材料メーカーと自動車メーカーなどユーザーが共通で活用できる材料評価基盤を世界に先駆けて確立する。さらに、材料メーカーの提案力強化やユーザーとのすり合わせ時間の短縮、開発コストの低減などにも取り組み、実用化や普及目標の前倒しにつなげる。

日刊自動車新聞3月1日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

経済産業省

対象者 自動車業界