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自動車産業インフォメーション

2019年2月7日

都営バス、65年ぶり営業黒字へ

東京都の自動車運送事業(都営バス)の営業損益が2025年度に黒字化する見通しになった。実現すれば1960年度以来65年ぶりになる。地方では乗り合いバス事業の赤字の深刻化が問題になっているが、東京では都心部への人口流入や高齢者層の自家用車利用者数減などにより、好調さが際立っている。併せて東京都交通局は、停留所の案内用デジタルサイネージ(電子看板)設置や車両表示のアルファベット・カラー化など、東京オリンピック・パラリンピックに向けて情報案内を強化していくなどの計画を発表した。

同局が1月25日に発表した「経営計画2019」によると、本業で稼いだ利益を示す都営バス事業の営業損益は、都の人口がピーク(約1408万人)となる25年度に前年度比9億円増の8億円の黒字を見込み、26年度以降は19億~27億円の黒字額を予想している。営業外損益を加えた経常損益も24年度以降、黒字に転じる見通しを立てている。
JR山手線と荒川に囲まれる地域の内側と、江戸川区、多摩地域の一部で運行している都営バス(乗り合い)の1日平均の乗車人員は、10年度に55万1267人まで落ち込んでいたが、その後回復し、17年度には63万3458人に達している。同局では、臨海地域の開発の進展などで乗客数の増加傾向が当面続くことに加え、給与水準が高いベテラン運転手の退職増により、収支改善が進むと見ている。
一方で約6割の路線が赤字になっており、採算性が低くても地域に必要と判断した路線は、公営企業の責任で維持していくことを明確にした。そのため、はとバスへの業務委託や職員の給与水準の引き下げなどといった効率的な事業運営に引き続き努力していくことを強調している。
21年度までの事業計画を示した経営計画2019では都営バス事業について、高齢化と国際化の進展にあわせた情報提供の充実に加え、停留所の上屋・ベンチ・LED照明の整備推進による快適性の向上、18年度に初めて導入したフルフラットバスや16年度から走っている燃料電池バスの導入拡大を打ち出している。

さらに、現在漢字と数字で示している系統名について、国のガイドラインに従いアルファベットを用いた系統ナンバリングを試行導入するほか、乗りたいバスが一目で分かるようなフルカラー行き先表示器の導入など「誰もが利用しやすい都営バス」の実現を目指す内容になっている。
人材確保については、乗務員の大量退職時期を迎えつつあることに加え、全国的に大型二種免許取得者が減少していることから、引き続き高校や専門学校への働きかけ、就職イベントの参加による採用活動の強化を進めていく。また、免許未取得者への取得支援や新規採用者向け研修の充実、SAS(睡眠時無呼吸症候群)検診と脳MRI検診の促進を盛り込んでいる。

日刊自動車新聞2月4日掲載

開催日 2019年1月25日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

東京都

開催地 東京都
対象者 自動車業界