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自動車産業インフォメーション

2019年2月1日

SIP大学チーム、エンジン熱効率50%超を達成 燃費10%超の改善効果

京都大学や慶應義塾大学などの内燃機関研究チームは、乗用車用のガソリンエンジン(GE)およびディーゼルエンジン(DE)で、それぞれ50%超の正味最高熱効率を達成したと発表した。

研究は内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「革新的燃焼技術」で実施。現在、市販車用エンジンの熱効率は最高40%程度にとどまる。これを50%に引き上げれば、燃費を10%以上改善する可能性があるという。活動をとりまとめる杉山雅則プログラムディレクター(トヨタ自動車)は28日の報道向け取材会で「今回の成果は5年もあれば商品に盛り込むことができるのでは」と、実用化に対する期待を述べた。

SIPの革新的燃焼技術は2014年に活動を開始。複数の企業と複数の大学が連携する「産産学学連携」によって、自動車企業が40年かけて10%向上した熱効率を、5年間でさらに10%引き上げることを目標に研究を展開してきた。

GEでは「超希薄燃焼(スーパーリーンバーン)」、DEでは「高速空間燃焼の技術開発」に重点を置いた。また、両エンジンともに、機械摩擦損失の低減やターボ過給システムの効率向上などにも取り組んだ。これらの成果の相乗効果によって、GEでは51・5%、DEでは50・1%の正味最高熱効率を実現できた。京都大学の石山拓二教授、慶應義塾大学の飯田訓正特任教授、早稲田大学の大聖泰弘特任研究教授らのチームが取り組んだ。

また、同プロジェクトでは東京大学の金子成彦教授らによって、自動車のエンジンの3次元燃焼解析ソフトウエアやPM生成のモデル、自動車エンジン燃焼のモデルベース制御システムの構築にも成功した。

日刊自動車新聞1月29日掲載

開催日 2019年1月28日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)

対象者 大学・専門学校,自動車業界
リンクサイト

SIP革新的燃焼技術公開シンポジウム1月28日開催

http://www.jst.go.jp/sip/event/k01/20190128/index.html