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2019年1月20日

中国新車、28年ぶり前年割れ 世界への影響拡大懸念

中国の自動車市場の頭打ち感が鮮明となっている。中国汽車工業協会が発表した2018年の中国の新車販売台数は、前年比2・8%減と28年ぶりに前年を割り込んだ。09年に米国を抜いて以来、10年連続で世界最大市場ではあるものの、さらなる成長が期待される中国市場での一服感は世界の自動車業界の動向に影響を及ぼしかねない。一方で今後も引き続き3千万台レベルの市場規模は見込まれており、電気自動車(EV)など次世代車へのシフトが加速する中、開発競争を含めた主導権争いが一層激化しそうだ。

中国汽車工業協会が14日に発表した中国新車販売台数は2808万600台と1990年以来28年ぶりに前年を下回った。乗用車が同4・1%減の2370万9800台と低迷した。一方で商用車は同5・1%増の437万800台と過去最高を更新したものの、乗用車の落ち込みをカバーしきれなかった。
市場減速の背景には、17年末に終了した小型車向け減税の反動減に加えて、経済情勢の鈍化、さらに米中の貿易摩擦による米国ブランド車の販売低迷などが挙げられる。単月の販売台数では、7月以降6カ月連続で前年同月を下回り、2桁減は9月から4カ月続く結果となった。

中国政府が普及を推し進めるEVなどのNEV(新エネルギー車)の販売は同61・7%増と大幅に伸長した。このうちEVは同50・8%増の98万4千台、プラグインハイブリッド車(PHV)は同118%増の27万1千台だった。さらに19年からは一定割合のNEVの生産を義務付ける新ルールも適用されるなど、さらなるNEVの販売拡大も予想される。

市場全体が減速感を示す一方で、トヨタ自動車は好調を維持、同14・3%増の147万4500台だった。日産自動車は同2・9%増の156万3986台と過去最高を更新した。「CR―V」のリコール問題で販売を落としたホンダは同1・7%減の143万2291台だった。新型車効果が一巡したマツダも同12・0%減の27万2322台にとどまった。
中国市場はこれまでの右肩上がりが頭打ちとなるなど足元の市況が不安視される一方で、依然として2800万台と世界2位の米国の1・6倍の規模を誇る。同協会関係者は「短期的には厳しい状況が続く」というものの、市場規模自体は今後も横ばいで推移すると見ている。マツダの丸本明社長も「10年、20年後を考えると世界市場の1、2位は変わらない」と重要性を指摘する。自動車メーカーが引き続き中国市場を重要視する中、新たな規制が導入されたNEVの競争力が中国ビジネスを大きく左右することになりそうだ。

日刊自動車新聞1月16日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

中国汽車工業協会

開催地 中国
対象者 自動車業界