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自動車産業インフォメーション

2018年12月24日

欧州のCO2排出規制強化、対応迫られる日系各社

欧州の二酸化炭素(CO2)排出規制の強化が加速している。欧州連合(EU)加盟国と欧州議会は17日、乗用車のCO2排出量の企業平均目標を2030年までに1キロメートル当たり60グラム以下へと大幅に引き上げることで合意した。

ディーゼルエンジン(DE)車やハイブリッド車(HV)では達成が困難な厳しい目標値となる。これまでCO2規制で世界をリードしていた欧州だが、電気自動車(EV)などの普及を見据えてハードルを引き上げた格好だ。HVなどで規制対応に有利とされてきた日系メーカーだが、規制値の引き上げが現実となったことで、方針の見直しも迫られそうだ。

今回合意した新たな目標値は30年に21年目標である95グラム/キロメートルから37・5%削減するというもの。EU加盟国で構成する閣僚理事会と欧州議会での正式な承認手続きを経たのち実施する。
ただ、非常に厳しい目標値に対して欧州の自動車業界からは批判の声が相次いでいる。欧州自動車工業会(ACEA)は「技術的、社会・経済的な現実を考慮しない完全に政治的な動機に基づいた目標で、遺憾だ」と声明を発表した。独フォルクスワーゲン(VW)のヘルベルト・ディース社長も「投資計画の見直しが必要」と述べた。加えてEVの販売比率を高める必要性を挙げるほか、雇用減退の懸念も指摘する。

日系メーカーも欧州戦略の見直しが迫られそうだ。トヨタ自動車やスバル、スズキなどは欧州でのDE車に対する批判を受けて、DEの設定廃止を表明している。同時にトヨタやホンダはHVのラインアップを強化する方針を打ち出している。その結果、トヨタの欧州の乗用車販売におけるHV比率は17年に41%まで高まった。さらに20年には50%への引き上げも計画する。
ただ、CO2排出量で強みを持つトヨタ「プリウス」でも78グラム/キロメートルと、新たな目標値には届かないのが実情だ。このためさらなるCO2排出量の削減には、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)の販売拡大が不可欠となる。
一方で厳しいのがマツダやスバル、スズキなどの中堅メーカーだ。特にマツダは世界販売のうち欧州は16%を占めるなど、北米、中国に次ぐ主力市場と位置付けている。独自技術の採用で商品力を高めたDEを武器としてきたものの、従来半数を占めていたDE比率は10%台まで低下している。これにより企業平均燃費が上昇し、現在ではCO2規制に対するペナルティーを支払う状況となっている。

目標値の引き上げにより今後欧州では中国などと同様に、EVやPHVの販売が本格化することが予測される。中でもPHVは欧州のCO2測定基準「ECE R101」において、EVモードの走行距離に応じてCO2を軽減して計算することができるなど、HVに比べて大幅に有利な数値を得ることができる。例えばトヨタ「プリウス プラグイン」(日本名プリウスPHV)ではCO2排出量を28グラム/キロメートルまで低減できる。

日刊自動車新聞12月20日掲載

開催日 2018年12月17日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

欧州連合(EU)加盟国、欧州議会

開催地 欧州
対象者 自動車業界