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2018年12月18日

ダイムラー系、ボルボ系商用車、課題多く自動運転レベル3見送り、レベル4に開発集中

外資系商用車メーカーが、自動運転の開発で「レベル3」(システムの要請に応じて手動運転)を見送り、より高度な「レベル4」(限定地域での完全自動運転)の実用化に注力する方針を固めた。ボルボ・グループのUDトラックスは2020年に、ダイムラーグループの三菱ふそうトラック・バスは25年前後にそれぞれ自動運転レベル4を実用化する目標を掲げた。レベル3は、運転をシステムから人に切り替える際の確実な安全確保などに課題が多い。その一方、商用車は工場内など限定された空間でも、ドライバーの負担を軽減できる自動運転ニーズが高いため、レベル4に開発リソースを集中し、実用化を急ぐ。

両社ともに、まずは工場内や港湾、物流施設、建設現場、空港など私有地の限定された空間で自動運転レベル4を実用化することを想定している。UDトラックスは、19年にレベル4の機能を搭載した大型トラックの実証実験を事業者とともに開始。技術的な課題やビジネスモデルを検証した後、20年に販売を開始して実用化する。
また私有地などの限定空間であれば、自動運転車が安全に走行するための周辺環境を整備しやすいといった点も、レベル4の実用化を後押しする大きな要素となる。

一方で自動運転レベル3は、システムが自動で車両を運転している場合でも緊急時には、ドライバーによる運転操作に切り替える場合がある。運転の責任の所在に加えて、システムがドライバーに運転操作を受け渡す際の方法など技術的な課題が少なくない。結果的に、自動走行中でも、レベル3の場合にはドライバーが車両の周辺環境やシステムの作動状況に気を配る必要性がある。「ボルボ・グループとしてレベル3の必要性を感じない」(UDトラックスのダグラス・ナカノ開発部門統括責任者)ことから、商用車でのレベル3の実用化は見送る方針だ。

三菱ふそうを含むダイムラーグループも商用車では、レベル3を飛ばしてレベル4を実用化する計画を掲げる。限定された環境下のみであっても完全自動走行が可能になれば、事業者が悩まされているドライバー不足に対する解決手段となりうるためだ。
個人が所有するケースが大半の乗用車と異なり、商用車は走行するルートや用途が限定されることが少なくない。自動運転レベル4との相性は良く、事業者からのニーズも高いことから外資系各社はレベル4に開発リソースを集中させている。

日刊自動車新聞12月14日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞調査

対象者 自動車業界