自動車産業インフォメーション

注目集めるガラス繊維、自動車の電装化などに対応

2018年12月7日

自動車の電装化や軽量化に伴い注目されている素材としてガラス繊維がある。樹脂と混練することで強度が増すほか、均等性に優れたクロス製品は電気特性が安定することからプリント基板向けに需要が高まっている。ガラス繊維メーカー各社は、生産能力の増強や新分野に向けた用途展開を図ることで、さらなる売り上げ拡大を狙う。

ガラス繊維シェアトップの日東紡は、電装化と軽量化に向けた採用を目指すため、2017年度から4ヵ年で取り組む中期経営計画で高品位製品の生産能力を拡大する。台湾拠点を中品位生産に移行し、国内は高品位に特化した生産拠点として衣替えする。福島工場(福島市)では炉を含めた生産設備について改良を加え、福島第2工場(同)では高品位のクロス製品の設備に刷新する。ガラスクロス製品は熱膨張しにくく、低誘電で電送ロスが少ないことからスマートフォンやパソコン用プリント配線基板の電子材料として使われてきた。今後は自動車用の制御系およびミリ波レーダー、電送ロスの低減が求められる5G(第5世代移動通信システム)に関連したプリント基板向けでの採用を獲得したい考えだ。このほか、軽量化対応ではステアリングやパワートレーンといった、より高い安全性が求められる分野での受注獲得を狙う。自動車メーカーなどエンドユーザーとも直接協議を重ね、提案力を高める。

溶けたガラスを高速で巻き取り長い糸状にしたものが長繊維だ。中国メーカーの巨石、米オーウェンコーニングに続き、世界シェア3位の日本電気硝子はこの分野で積極投資を展開する。PPGインダストリーズファイバーグラスから16年10月にオランダ、17年9月には米国の拠点を取得。さらに19年第1四半期までに計100億円を投じて、長繊維の年産能力を1割増産する。

長繊維生産のうちこれまではエンジン用部品向けとして樹脂と混練し成形したドライチップが主な用途を占めていた。一連の買収に伴い、ダイレクトロービングやガラスクロスのウエットチョップでの生産を増やし、自動車用バックドアや風力発電用ブレード、プリント配線基板向けの受注拡大を狙う。18年度売上高見通し3千億円のうち、ガラス繊維の割合を半分近くまで伸ばす。主力の液晶用ガラス向けが伸び悩む中、今後はガラス繊維事業を成長分野として育てる考えだ。このほか、開発面ではEV用次世代リチウムイオン電池向けとして全固体電池の実用化を進める。17年11月には世界初となる正極材に結晶化ガラスを使った全固体ナトリウムイオン二次電池を開発。現在は負極材の開発も進めており、早期実用化を目指す。

セントラル硝子は現在、車載および携帯用カメラ向けの電材材料向けで売り上げが伸長しているが、吸音材や防音材向けではやや伸び悩んでいる。ただ、将来的には「5G向けプリント基板材料やIoT対応に向けた開発も検討していきたい」と語る。

日刊自動車新聞12月4日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
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日刊自動車新聞社調査

対象者 自動車業界
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