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2018年11月20日

地域部品商・整備工場、労働法制どう対応 深刻な人手不足、仕事の回し方問われる

働き方改革関連法の改正により、10日以上の年次有給休暇を持つ労働者に対し、毎年5日間は休暇を必ず取得させることが来年4月から企業の義務になる。中小・零細(小規模)が多い地域部品商や整備工場も例外ではない。来年4月以降も罰則付きの残業規制や「同一労働・同一賃金」など改正法の施行が相次ぐ。人手不足の中、ワークライフバランスを保つ工夫が今まで以上に問われることになる。

◆モーレツ社員も今は昔
「我々は身を粉にして働くことが美学だった世代だが、雇用問題は避けて通れない道だ」。福岡県の大手部品商、ウィズフォーメイションの西山正洋取締役はこう話す。同社は働き方改革の一環として日曜出勤を廃止し、時間外は電話を留守電に切り替えて社員に帰宅を促している。富田オートサービス(福島県郡山市)は「働き方改革の進め方」をまとめ、メカニックを含めた全社員に配布。社員の意識改革を迫る。5日間の有給を本人申請で取得しきれない場合、会社側が指定する必要がある(計画付与)が、若杉利男社長は「お盆などに合わせて2日増やせばクリアできる」と自信を見せる。
とは言え、業界の人手不足は深刻だ。全国自動車整備協業協同組合協議会(全整協)の坂本和明会長は「地方の整備工場では、技術研修をしようにも人の確保が最優先課題となっている状況だ」と現状を説明する。改正法についても「会社の規模、業務内容などにより簡単に対応できる会社、難しい会社がある」(東京都内の部品商社長)、「整備業は時期によって仕事量にムラがある。国が『整備業は土日休み、営業時間は9~18時』など指定してほしい」(カーグラス・ジェイピー田中聡社長)などの声があがる。

◆会社の仕組みとともに意識改革
オートアライアンス山口の木下寛士社長は「被雇用者も休暇を取得するため、成果を追求した働き方をし、個人レベルでのマネジメント感覚を養うべき」と指摘する。同社はアントレプレナーシップ制度を設けた。希望する部門やプロジェクトに異動できる社内フリーエージェント(FA)制度などもある。社員の自発性を引き出し、組織や事業を活性化することが狙いだ。この過程では必然的に自身のワークライフバランスも重要になる。
働き方改革関連法は今後も段階的に施行される。中小企業の場合、残業の罰則付き上限規制や不合理な格差の禁止(同一労働・同一賃金)が20年4月から適用され、23年4月からは週40時間超の残業が月換算60時間を超える場合の割増賃金率50%が適用となる見通し。人手不足の中でどう仕事を回しつつ、厳しくなる労働法制に対応するか。企業の実態に合わせた工夫や入念な準備が求められそうだ。

日刊自動車新聞11月16日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞社調査

対象者 自動車業界