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2018年11月13日

〈増やせ!クルマ好き〉白煙と横滑り 美しさ・技術競う 東京・お台場でドリフト世界大会

日本発のドリフト競技が国際格式レースとして盛り上がりを見せている。国際自動車連盟(FIA)公認のドリフト世界大会「FIAインターコンチネンタルドリフティングカップ(IDC)Tokyo Drift」が3、4日、東京・お台場の特設コースで開かれた。FIAは技術的な指南方法などを盛り込んだドリフトツールボックスを活用して世界各国にドリフト競技を普及させるほか、来年には「ドリフトコミッション」を立ち上げ、FIA IDCを継続開催する方針だ。

◆「単走」と「追走」
ドリフトは1980年代の日本で愛好家らが峠道を走ったことが発祥とされる。暴走行為や騒音が社会問題化した一方、2000年には日光サーキットで初めてドリフトの競技会が開かれ、舞台は公道からサーキットに移る。競技としては、車両が白煙を上げながらタイヤを意図的に滑らせ、横滑りするドリフト走法の美しさや技術を競い合う。1台でドリフトし、技術の正確さを競う「単走」と、2台が同時に走り、後追いが先行車に合わせたドリフトをする「追走」に分かれる。単走は2回走り、得点の高かった走行で順位が決まる。一方の追走は、先行と後追いを入れ替えて2回走る。2本分を合算して勝敗が決まり、勝ち抜き戦で優勝者が決定する。

FIAはモータースポーツ人口を増やすため、約40カ国でドリフト競技が行われていたことに着目し、昨年から世界大会として運営に乗り出した。採点方法は、事前に審判員から発表された走行ラインなどのポイントに加え、独自の機械採点システムによって、角度やスピードなどの要素が得点に反映される。一般的には車体角度の大きさや速さ、エンジン音が途切れないこと、スムーズな動きなどが高い評価となるという。

◆リージョナルシリーズ開催も視野に
今回は、初日に「2018年グランツーリスモD1グランプリシリーズ」の最終戦、2日目にFIA IDCが開催かれた。D1では、単走で末永直登選手が今季初の優勝、追走で内海彰乃選手が初優勝を果たした。単走シリーズチャンピオンはすでに川畑真人選手が獲得しており、横井昌志選手が追走トーナメントのベスト16でシリーズチャンピオンとなった。

FIA IDCには13カ国から21人が参加。昨年の第1回大会に比べ、コースレイアウトや採点方法を変更した。コースレイアウトを変更したことで、ドライバーは角度変化をつけることが難しくなったほか、コース距離が長くなり、車体姿勢を保つ技量も求められた。単走では、どれだけ壁に近づいているかなどを見る走行ラインと角度、スタイルの3項目で判定され、追走では雨の影響でウエットコンディションとなったため、速度よりもドライビングの正確性が重視された。
競技の結果、1位はロシアのゲオルギィ・チフチャン選手、2位はスイスのイヴ・メイエー選手、3位はタイのチャナッポン・ケードピアム選手と国際色豊かな表彰台となった。1位を獲得したチフチャン選手は「日本のこのコースはまさにドリフトの聖地。私のマシンはこのコースにぴったり合っていたので、とにかくベストを尽くそうと思った」と喜んだ。
ドリフト競技は世界戦のほか、20年をめどに地域予選となるリージョナルシリーズの開催も検討されている。FIAからIDCの運営を任されているサンプロスの齊田功社長は「未来のドリフト選手を生み、育てていくべく、徐々に組織作りをしていく」と語った。

日刊自動車新聞11月9日掲載

開催日 2018年11月3日
開催終了日 2018年11月4日
カテゴリー 展示会・講演会
主催者

国際自動車連盟(FIA)

開催地 お台場特設コース(東京都江東区)
対象者 キッズ・小学生,中高生,大学・専門学校,一般,自動車業界

3カ国の選手が表彰台に上った