2018年11月7日
自動車関連業界も注目、どうなるポイント還元 消費増税対策、年末にも制度案
政府が消費増税対策の一環として検討中の「キャッシュレス決済時のポイント還元」。自動車関連業界では「政府の具体的な方策が決まり次第、速やかに対応できるように検討準備を行う」(日産カーレンタルソリューション)との声がある一方、大半の企業は制度の詳細がわからず静観している段階だ。制度設計には曲折もありそうだが、2%のポイント還元と合わせたキャンペーンなども考えられ、年末にも決まる制度案が注目される。
政府が検討中のポイント還元制度は、クレジットカードなどのキャッシュレス決済を条件に増税分の2%をカード各社のポイントとして消費者に還元するもの。対象は中小企業に限り、決済対象はすべての商品とサービスにする。欧米に比べて低いキャッシュレス決済比率を高め、消費増税による消費の失速も防ぐ一石二鳥を狙う。還元期間は来年10月の増税開始から1年程度とする考えだ。中小企業の線引きやシステム上の対応、フランチャイズチェーンの直営店と加盟店の区別など課題も残る。政府はプレミアム商品券や住宅ローン減税なども合わせて検討し、年末までに対策をまとめる考えだ。
日産カーレンタルソリューションでは全店舗でクレジット決済に対応し、クレジットと現金支払いの比率は3対1とすでにキャッシュレス決済が主流だ。一方、自動車用品は「現金が6割、残り4割がクレジットなどの決済」(オートバックスセブン)と未だ現金が主流で、ナナコ、エディなどクレジット以外の決済手段への対応も道半ばという。それでもタイヤやカーナビなど高額商品なら「2%還元」の集客効果は無視できない。「政府の方針が出たときに対応できるよう協議している」(イエローハット)と成り行きを注視する。国内外の工具を販売するファクトリーギア(高野倉匡人社長、東京都台東区)は「キャッシュレス決済を2019年1月中に導入できるように進めている」(飯田絢子取締役)という。
中小・零細(小規模)企業が大半の整備や補修部品業界は様子見だ。クレジット決済の手数料もキャッシュレス決済を嫌がる原因のひとつ。鯉沼誠輪社(東京都文京区)の鯉沼誠一社長は「行政側で決めたようにしかならない。今後の動きを見ていくしかない」と話す。ただ、整備でもクレジット決済を望む顧客は多いと言い「2%分を単に還元するだけでなく、付帯サービスを提案するなど様々な手を考える必要がある。囲い込みにつながるようにしなければならない」(千葉の車体整備事業者)との声もあった。
日刊自動車新聞11月5日掲載
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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主催者 | 日刊自動車新聞社調査 |
対象者 | 自動車業界 |